「誰もが楽しめる観光」を バリアフリー対応学ぶ 県大島支庁研修会

2023年10月13日

社会・経済 

アイマスクをして歩き、介助者の役割や誘導方法を学ぶ「おもてなし研修」参加者=12日、奄美市名瀬

誰もが安心して訪れることができる観光受け入れ体制の推進を目的とした県の「おもてなし研修会」が11、12の両日、喜界島と奄美大島で開かれた。奄美市名瀬の奄美川商ホールであった研修には、観光業やホテル、福祉関係者ら33人が参加。座学と実技を通して、障がいの有無や年齢などに左右されずに旅行を楽しむ「ユニバーサルツーリズム」の考え方や具体的な対応方法について知識を深めた。

 

研修会は県大島支庁の2023年度「奄美群島心のおもてなし推進事業」の一環。大手旅行会社で30年以上の勤務経験があり、在籍時から現在まで20年以上にわたってユニバーサルツーリズムの運営・推進に携わっている渕山知弘さん(54)が講師を務めた。

 

座学では全国の事例を基に、観光地の受け入れ体制構築による新たな旅行市場の可能性を提示。渕山さんは入浴介助の有料サービスや、バスの乗り降りのための踏み台、博物館内の手で触れられる展示物などを紹介し、「想像力や工夫でハードルを取り除くことが心のおもてなしにつながる」と語った。

 

実技では2人1組になり、アイマスクや車いすを使って介助を受ける側・行う側の感覚を体験。手すりのそばに置かれた美術作品や小さな段差が思わぬ「障害」となる場面もあり、参加者は感じたことを共有しながら介助者に必要な声掛けの内容や安全な誘導方法を学んでいた。

 

国内外の車いす利用者が訪れる瀬戸内町のマリンスポーツ施設「ゼログラヴィティ清水ヴィラ」からはスタッフ5人が参加。同施設アルバイトの藤原幸乃さん(29)は「自分も車いすに乗ってみることで、利用する人がどういうときに怖さを感じるのかが少し分かった。どんな声掛けが必要か考えたい」と話した。