〝花の島〟大打撃 船欠航、盆前出荷できず 生産農家から嘆きの声 沖永良部

2019年08月14日

社会・経済 

定期船再開に向け、夏秋ギクの収穫作業に汗を流す農家=13日、和泊町

定期船再開に向け、夏秋ギクの収穫作業に汗を流す農家=13日、和泊町

 台風9号、10号の影響で〝花の島〟沖永良部島の花きが盆商戦で大打撃を受けている。鹿児島―沖縄を結ぶ定期船の欠航、抜港が続いているため、需要が見込まれる盆前に本土への出荷がかなわなかった。生産農家からは「台風だから仕方ないではすまされない。生活が懸かっている」との嘆きも聞かれた。

 

 沖永良部花き専門農業協同組合によると、この時期は主に夏秋ギク、ソリダゴ、クルクマなどを出荷している。特に夏秋ギクは昨年、県育成品種が高い評価を受けたことや、近年の本土温暖化の影響で沖永良部島が適地として注目されつつあり、販売本数が増加。前期は100万本を販売し、今期目標は150万本としていた。

 

 出荷は7日の定期船欠航から滞り、以降は11日に入港した貨物船、12日に寄港した定期船の下りのみ。下り船で沖縄まで運んだ花きは空路で本土へ運ばれ、市場に届くのは14日となる見込みだ。

 

 同組合の葉棚清二組合長は「事前に注文を受け、確実に売れる本数が決まっていたが、届けることができなかった。夏秋ギク産地としてせっかく築き上げた信頼を失ってしまう懸念もある。これが離島の泣きどころ」と悔しさをあらわにし、「台風の直撃を免れたのはよかった。花や施設の損害は少なく、次の生産につなげられる。頑張りたい」と前を向いた。

 

 今期初めて夏秋ギクの生産に取り組んだ田中米富さん(60)=和泊町=は13日、定期船再開後の出荷に向けて収穫作業に汗を流していた。「せっかく花はできたのに、輸送ができないとはショック。8月後半の売り上げに期待したい」と力を込めた。