しがらみや時間から解放 おきなわブランド戦略 沖縄県発表

2024年04月07日

社会・経済 

「おきなわブランド戦略」の発表イベントで意見を交わす沖縄県の玉城デニー知事ら=3月28日、那覇市

沖縄県は3月28日、観光消費拡大や域内経済の循環促進による県全体の稼ぐ力強化へ向け、産業横断的な統一指針となる「おきなわブランド戦略」を発表した。ターゲットを「好奇心旺盛で旅行好きな消費者」とし、提供する価値に「日常のしがらみや時間からの解放」などを打ち出す。

 

おきなわブランド戦略はターゲット「WHO」と価値「WHAT」で構成。ターゲットのコア層は、付加価値の高い旅行を好む「本格志向の旅行消費者」「家族や仲間など同行者と感動を分かち合う旅行者」とした。提供する価値は「心と体を潤すパワーを通じた自己変革」「新たな発見を求める知的好奇心」を含む三つ。

 

ブランド戦略は2022年度から2年間実施した大規模な消費者調査に基づいて策定した。6カ国の延べ1万6000人に対するアンケートや聞き取り調査の結果から、消費者が心の奥底で求め、消費者自身も気付いていない本音である「消費者インサイト」を分析した。25年に沖縄本島北部でテーマパーク「ジャングリア」の開業を予定しているマーケティング企業の刀(大阪市)が県との連携協定に基づいて協力し、県内の業界団体との議論を経てまとめた。

 

玉城デニー知事は発表イベントの冒頭、「沖縄の県民所得は復帰以降上昇傾向にあるものの、全国的には依然低い水準で、子どもの貧困など社会的課題の要因となっている」と指摘。県全体の稼ぐ力を高めるため、リーディング産業である観光を起点に産業間連携でブランド力の強化を図る必要があると強調した。

 

パネルディスカッションで、玉城知事は「本物の価値や体験を求める人々に対し、希少性が高く、その人生観を揺さぶるような体験を提供できるポテンシャルが沖縄にはある。沖縄に対する誇りや愛着をもって、皆さんと一緒にしっかり発信していきたい」と述べた。