ウニ漁解禁半月、今年も不漁か 奄美群島

2022年07月19日

社会・経済 

シラヒゲウニ漁解禁後も採捕できるウニがいないため、人影がない奄美大島北部の海岸=14日

奄美群島で1日にシラヒゲウニ漁が解禁され半月が経過した。夏の味覚として親しまれてきたシラヒゲウニだが、15日現在、名瀬漁協での水揚げはゼロ。漁業関係者からは「ウニはほとんどいない。稚ウニを放流しても育たず、資源が回復しない」との声が聞かれる。漁は8月末まで続くものの、今年も不漁となる見通しだ。

 

シラヒゲウニは濃厚な甘みが特徴。以前は、解禁日に奄美大島北部の海岸などの浜辺で、採捕したウニの殻を割る人々の姿が見られたが、ここ数年は見られなくなった。漁解禁から約半月が経過し好天に恵まれた14日、龍郷町荒波地区の海岸で漁業者の姿は確認できなかった。

 

名瀬漁協によると、管内のシラヒゲウニの水揚げ量は2015年に1537キロだったものの、16年は508キロ、17年はわずか3キロまで減少。18年以降はゼロとなり、今年も15日現在、水揚げはほぼないという。

 

17年から続く極端な不漁の原因は詳しく分かっていないが、ある漁業関係者は「ウニの餌となる海藻の減少が最大の要因」とみる。奄美群島の各自治体は数年前から、魚介類の産卵場やウニの餌場となる藻場造成事業に取り組んでおり、漁業関係者などによると一部では藻場の拡大が見られるものの、多くの地域では藻場の定着や拡大には至っていない。

 

県大島支庁林務水産課によると、奄美群島では資源回復に向け、各地域の漁業集落が中間育成した稚ウニの放流活動を実施。奄美群島水産振興協議会は今年度も、県の指導の下で種苗生産の体制構築を進めるとしており、漁業関係者は水揚げの回復へ望みをつないでいる。