チリメーサー、G20で紹介 廃プラ対策、注目の機器 奄美出身の福富さん

2019年07月06日

社会・経済 

トマス技研の取り組みを紹介した政府展示スペース=6月28日、大阪市

トマス技研の取り組みを紹介した政府展示スペース=6月28日、大阪市

 先進国と新興国の20カ国・地域首脳会議(G20)大阪サミットが6月28、29の両日、大阪市で開催され、政府広報展示スペースで奄美市名瀬出身の福富健仁さん(53)が経営するトマス技術研究所(沖縄県うるま市)が開発した小型焼却炉「チリメーサー」が紹介された。チリメーサーは廃プラ対策で注目の機器。各国首脳に紹介されたことを受け、福富さんは「今後もオンリーワンのモノづくりにまい進したい」と意欲的だ。

 

 チリメーサーはJICA(国際協力機構)の採択事業の中から優れた案件として取り上げられた。バリ島(インドネシア)の市立総合病院に導入され、医療廃棄物の処理に威力を発揮している事例を紹介した。

 

小型焼却炉「チリメーサー」

小型焼却炉「チリメーサー」

 チリメーサーはトマス技術研究所が「沖縄の海を漂着物による環境悪化から守ろう」と開発した。▽無煙▽ダイオキシン排出量を大幅に低減▽完全自動運転▽低コスト―が特徴だ。沖縄の離島の漂着物、生活ごみ、廃プラスチックなどの処理に貢献している。

 

 G20に先立って長野県で開催されたG20エネルギー・環境相会合では、海洋に流れ出すプラスチックごみの削減に向けた共同声明が発表された。チリメーサーの活躍の場がますます広がりそうだ。

 

 今回の展示について福富さんは「世界の首脳に紹介されたことに、驚きと感謝の思いでいっぱい。シマンチュ(シマッチュ)だからできる、シマンチュにしかできないモノづくりがあるとの思いで今後もまい進していきたい」と話した。

 

 福富さんは大島高校から琉球大学に進み、機械工学を専攻した。2001年、トマス技術研究所を設立。同社はこれまで環境大臣賞や沖縄県知事賞などを受賞している。