トンネル本体、来年度着工へ 奄美市おがみ山バイパス事業 27年度、完了予定

2023年06月05日

社会・経済 

来年度からトンネル本体工事が始まるおがみ山バイパスの整備予定地=4日、奄美市名瀬真名津町

交通渋滞の緩和や災害対応の強化などを目的に奄美市名瀬で進められている国道58号おがみ山バイパス事業について県は、トンネル出入り口周辺の用地取得にめどがついたとして、今年度末までにトンネル本体工事を発注し、2024年度にも着工する。供用開始時期は未定だが、本体工事は27年度に完了予定。その後、照明や消防設備などトンネル内の設備工事に入る計画だ。

 

おがみ山バイパス事業は末広・港土地区画整理事業など奄美市が進めるまちづくりとも連動。1998年に都市計画し、2002年度事業着手したが「地元の合意形成が不十分」などとして09年度から中断。

 

18年2月には奄美市が県へ整備促進を求める要望書を提出。その後、同市が行った未買収地地権者への意向確認調査で、約9割から賛同を得られたことなどを理由に、19年度から事業を再開。22年度までの4年間で設計の修正や用地買収などを進めてきた。

 

バイパスの総整備区間は名瀬永田町―名瀬平田町の総延長約1・8キロで、事業用地は約1・4ヘクタール。このうち、名瀬永田町と名瀬真名津町を結ぶトンネルは延長1225メートル。このほか、トンネル出入り口側からそれぞれ約300メートルの取り付け道路を整備する計画で、18年度時点で名瀬真名津町側のトンネル入り口側や永田橋交差点など一部は整備済みとなっている。

 

総事業費は事業再開前は約140億円を見込んでいたが、再開後、設計基準の見直しや昨今の物価高騰に伴う用務費、資材費の上昇などもあり、「総事業費は精査中」(県大島支庁建設課)としている。

 

今年度の予算額は約14億2千万円。引き続き用地買収を進めるとともに、真名津町側トンネル出入口近くの道路整備も実施する。来年度から着手するトンネル掘削は、真名津町側から取り掛かる予定。

 

県大島支庁建設課は「地元の人々の期待も大きいバイパス。皆さんの協力をいただきながら、安全に留意して事業を進めていく」としている。