バイオガス発電事業を開始 20年で5千万円の事業収入 奄美市名瀬浄化センター

2023年10月11日

社会・経済 

バイオガス発電事業の開始式で行われたスイッチオンセレモニー(後方は消化ガス発電設備)=10日、奄美市の名瀬浄化センター

奄美市は10月1日から、名瀬の汚水処理場「名瀬浄化センター」で発生する消化ガス(バイオガス)を利用した発電事業を開始した。上下水処理のプラントメーカー「月島JFEアクアソリューション」(TJAS・本社、東京都)との公民連携事業。再生エネルギー活用による二酸化炭素などの削減効果に加え、市は20年間で約5千万円(年間250万円)の事業収入を見込んでいる。

 

下水道汚泥処理の過程で発生するバイオガスを同社が市から買い取って、処理場内に設置した発電施設(ガスエンジン)で発電。固定価格買い取り制度に基づき九州電力送配電に売電する仕組み。買い取り価格は1キロワット当たり39円。事業期間は2043年9月までの20年間。

 

消化ガス発電設備による年間発電量は約79万キロワット。一般家庭約220世帯分に相当し、年間約307トンの二酸化炭素削減につながる。

 

両者は今年3月にバイオガス発電事業に関する契約を結び、同社が9月末までに処理場内に発電施設を建設した。施設の維持管理や運営、撤去までの経費はすべて同社が賄い、市の財源負担はないという。

 

10日に名瀬浄化センターで発電開始式があり、関係者約20人が出席。発電設備起動の「スイッチオンセレモニー」などで事業開始を祝った。

 

安田壮平市長は「バイオガス発電事業に取り組むことで、持続可能な循環型社会の形成促進やSDGsの達成に貢献するとともに、下水道事業の新たな財源として期待している」と述べた。

 

同社福岡支店の林伊知郎支店長は「官民連携の良い事例となり、脱炭素社会の実現に貢献したい」と話した。

 

同市の下水道事業は1983年に名瀬地区で供用開始し、2022年度末の汚水処理人口普及率は93%と、全国的にも高い普及水準となっている。一方、人口減や施設の老朽化で事業を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、今月1日から下水道料金を値上げした。

 

バイオガス発電による年間250万円(消化ガス料金と土地使用料)の事業収入は、処理場の維持管理に充てる方針。