体験型NFT実証実験へ JAL、博報堂と黒糖焼酎蔵元がコラボ 新たな関係人口の創出目指す 奄美市

2023年02月21日

社会・経済 

安田市長(前列右)を表敬し、奄美市での体験型NFT事業に意欲を語った関係者ら=20日、奄美市

地域の特色を生かした新たな関係人口の創出を目指し、日本航空(JAL)と広告大手の博報堂は28日から、奄美大島など国内2地域でNFT(非代替性トークン)を活用した実証事業「KOKYO NFT(故郷エヌエフティー)」をスタートさせる。奄美では地元の蔵元と協力し、奄美黒糖焼酎の製造体験や音楽イベントへの参加権などを付与したNFTを販売する。関係者は「情報感度の高い層を通じて奄美の魅力を世界に発信したい」と意欲を見せた。

 

NFTはNonーFungible Tokenの略称で、偽造不可能なデジタルデータのこと。インターネット上で固有の価値を持ち、NFT自体が資産として扱われるほか、近年は各種施設、サービスの会員証や、所有者同士のコミュニティーづくりなどにも活用されている。

 

「KOKYO NFT」は両社が共同で進める新規事業で、実証実験が行われるのは奄美市と三重県鳥羽市。奄美市ではNFT購入者が黒糖焼酎のたるの共同オーナーとなり、3年間さまざまなイベントに参加しながらオリジナルボトルの製造工程を体験できる。

 

事業に協力する西平酒造(同市名瀬)の西平せれな社長は「焼酎に音楽を聞かせて熟成する『ソニックエイジング』の実験に一緒に取り組んでもらう。どんな人との出会いがあるのか、活動を奄美の発展にどうつなげていこうかと考え、とてもわくわくしている」と話した。

 

20日は西平社長と博報堂第十ビジネスデザイン局の岸井弘一日本航空担当部長、日本航空デジタルイノベーション本部事業創造戦略部戦略・企画グループの牧野圭亮グループ長らが奄美市の安田壮平市長を表敬訪問した。

 

岸井部長は「黒糖焼酎だけでなく、奄美の自然、文化、人の魅力も体感してもらう。地元の人にも知ってもらい、取り組みを広げたい」とアピール。安田市長は「発信力の高い国内外の富裕層、若い世代がターゲットになるとみている。事業を通して奄美の魅力を発信してほしい」と期待した。

 

「KOKYO NFT」はウェブサイトで28日に事前販売を開始。3月1日から一般販売される。日本円のほか、暗号資産ETHでも購入可能。奄美版は12万円。