停電や仕入れに不安の声 観光業界

2023年08月07日

社会・経済 

「安穏無事」を祈る短冊が揺れる山羊島ホテルのロビー=6日、奄美市名瀬

夏休みに入り予約のピークを迎えた宿泊施設やマリンレジャーなど観光業界からは、長引く台風6号の影響に不安の声が上がっている。食材の仕入れ再開がいつになるか分からず、停電の恐れも拭えないため、関係者の心配は絶えない。

 

瀬戸内町・加計呂麻島生間の「ダイビング&ペンションRIKI」では、停電時に食事や宿泊サービスを提供できなくなるため、複数入っていた予約を台風接近前にやむなく断った。奄美大島と加計呂麻島を結ぶ町営船「フェリーかけろま」は7月31日から欠航が続き、オーナーの濱地武之さんら家族も約一週間、自宅で過ごしている。

 

スタッフは「奄美大島に買い出しに行けるようになっても、鹿児島と群島を結ぶフェリーが止まっているので食材を仕入れられないのではないか。台風通過後のお客さまを迎える準備ができるか心配」と話した。ダイビングは29日を最後に中断しており、11日の再開を目指す。

 

奄美市名瀬の「奄美山羊島ホテル」では、予約のキャンセルが相次ぐ一方、6日は航空機の欠航などで滞在を延長した観光客や、台風の影響に備えた地域住民などが宿泊した。

 

碩朋美支配人は、レストランや大浴場の営業は継続しており、滞在客から不満の声もない。ただ、自家発電の使用は限りがあるため、停電時は客室のエアコンやエレベーターなどが一部使用できなくなる。停電が発生しないことをひたすら祈るのみ」と話した。

 

奄美市の名瀬港マリンタウン緑地公園を散歩していた家族連れ4人は、東京から観光で来島。喜界島での滞在をキャンセルし、奄美大島で4日から13日まで滞在するという。父親は、「きょうの予定も特にない」と落胆した様子。「喜界島で海に入りたかった。てるてる坊主を作ったのに泳げなくて悔しい」と嘆く娘を「最後だけでも海で遊ぼうね」と母親が笑顔で励ましていた。