大島紬、海外展開に手応え

2019年05月09日

社会・経済 

商談で用いた試作品の大島紬商品も展示された報告会=8日、奄美市名瀬

商談で用いた試作品の大島紬商品も展示された報告会=8日、奄美市名瀬

 海外での販路開拓・拡大を目指す「本場奄美大島紬ブランド確立プロジェクト」の最終報告会が8日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。米・仏・伊へ出張した紬織元4業者が商談の成果などを報告。「生地としての評価は高く、海外展開の可能性は期待できる」「幅や素材も見直しながら、海外で受け入れられる商品が必要」などと述べた。

 

 大島紬の生産反数は1972年度に28万反に達したが、その後は減少を続け、2018年度には4千反を割った。プロジェクトは海外進出や新商品開発などで新たな需要の掘り起こしを図ろうと、奄美大島商工会議所が16年度に着手。中小企業庁の「JAPANブランド育成支援事業」を活用し、3年間の事業計画で進めた。

 

 奄美大島商議所を事業主体に、奄美市や龍郷町、本場奄美大島紬協同組合などが支援、2市町の生産業者らが共同業者として参加。洋服やインテリア用品の試作品開発や、海外視察・商談などを行ってきた。

 

 最終報告会では、都成織物の黒田康則さん(40)、前田紬工芸の前田圭祐さん(32)、夢おりの郷の南晋吾さん(38)、はじめ商事の元允謙さん(37)が、18年度に実施したアメリカ合衆国、フランス、イタリア視察について説明。

 

 フランスを中心に服飾・インテリア関係者へ布を販売している事業者との契約が成立したことや、今年10月に予定している欧米の富裕層による日本ツアーに奄美大島が組み込まれたことなどを報告した。

 

 一方、反物特有の布幅の狭さなどの課題も指摘された。報告者から「幅や素材など、大島紬の技術を受け継ぎながら海外用の新たな商品展開が必要」「外国語での発信を生産者だけで行うのは難しい。欧米展開を目指す他業者と協力できないか」などの意見もあった。