安定した雇用の創出目指せ 特定地域づくり事業協同組合シンポ 沖永良部島

2023年01月13日

社会・経済 

特定地域づくり事業協同組合設立の意義や課題などを議論したシンポジウム=12日、和泊町

地域で安定した雇用の創出を目指す「特定地域づくり事業協同組合」をテーマとしたシンポジウムが12日、和泊町役場結いホールであった。同組合設立のメリットや運営上の課題などを議論。同組合に県内で初めて認定された沖永良部島の「えらぶ島づくり事業協同組合」の金城真幸事務局長が、同組合が取り組む労働者派遣と職業紹介を組み合わせた地域づくり人材の確保策について講話し、「島の人事部として移住希望者と人手不足で悩む事業者との懸け橋に」などと語った。

 

シンポジウムは同組合制度の推進、普及を目的に昨年に続いて開催。県中小企業団体中央会が主催し、インターネットを使ったリモート参加も含め、県内外の事業者や行政職員、地域おこし協力隊ら95人が参加した。

 

金城事務局長は講話で、労働者派遣事業の課題として「町の財政負担もあり、派遣職員数を無制限に増やすことはできず、島の事業者の人材不足を補うには不十分」と指摘。組合としては全国で初の認可を受け、22年10月から取り組む「有料職業紹介事業」を事業推進の一手として強調し、「人材あっせんの手数料をもらうことで組合運営を安定化。同紹介事業を活用する事業者に対して積極的に組合加入を促すことで、組織体制の強化に努める」などと語った。

 

パネルディスカッションでは、県中小企業団体中央会の坂本和俊連携情報課長を調整役に、和泊、知名両町の担当者、えらぶ島づくり事業協同組合職員ら6人が「組合で目指す地域と職場の活性化」をテーマに意見交換。職場や地域の変化について金城事務局長はある職員の事例を挙げ、「海外ホテルでの勤務経験があり、ホテル派遣時はスタッフのいい影響、刺激になっている」などと報告した。

 

リモートで議論に加わった同組合職員の寺内佑介さんは移住後にさまざまな職種を経験。「農業では一日中体を動かして働くのがしんどかったが、今まで感じたことのない達成感があり、価値観が広がった。やったことのない職業を経験することで、自分の適性を見つけやすい。人脈も広がり、島にすごくなじめたと感じる」などと振り返った。

 

シンポジウムでは同組合制度の概要や職業紹介事業などについての講話もあった。13日はえらぶ島づくり事業協同組合事務所や組合員企業の視察研修を行う。

 

特定地域づくり事業協同組合は2020年6月に制度化。若者や移住者らを正職員として雇用し、繁忙期など各事業者の労働需要に合わせて働き手を派遣する労働者派遣事業を主に行っている。22年12月末現在、全国で68、県内5(うち奄美群島3)組合が認定を受けている。