島豚ブランド化へ勉強会 奄美市

2021年12月14日

社会・経済 

奄美島豚のブランド化確立に向け、開かれた勉強会=11日、奄美市名瀬

奄美島豚のブランド確立に向けた勉強会が11日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。鹿児島大学農学部の下桐猛准教授と、沖縄県今帰仁村の農業生産法人「今帰仁アグー」の高田勝代表が基調講演。ブランド化には島豚の定義・基準の明確化や、経済資源としてだけでなく、文化資源、地域資源としての価値を認識することの重要性が示された。地元の生産関係者ら16人が参加し、2人の提言に耳を傾けた。

 

勉強会は今年7月に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が世界自然遺産に登録された中、その機会を生かし、奄美在来起源種である奄美島豚のブランド化の確立を探ろうと生産者らが企画。奄美群島広域事務組合の民間チャレンジ支援事業を活用した。

 

下桐准教授は「奄美島豚遺伝子解析とブランド化に向けた遺伝子検査の利用」の演題で講演。奄美島豚の保存と活用を目的とした遺伝子研究の結果、「島豚は他品種のバークシャーと遺伝的に近いが、バークシャーにない特徴を持つなど遺伝資源としても貴重」と強調した。

 

ブランド化に向けては「島豚の定義や基準が必要。それがないとDNAの利用も難しい。現在の島豚には遺伝的に異なる三つの集団があり、これらを利用して集団を維持してほしい」と提案した。

 

沖縄で島豚(アグー)を飼養している高田さんは「伝統的な家畜は効率性や収益性が低い」などの経済資源としてのデメリットなどを説明し、「限られても深く人の心に突き刺さるモノを販売し、価値評価を高め、単価を上げることが重要」と話した。

 

そのために経済資源としてだけでなく、▽遺伝▽文化▽地域▽学術などの資源としての価値を認識し、発信することの重要性を強調。「経済と文化どちらもわれわれを豊かにするものであり、そのバランスを意識しながら奄美島豚のブランドを築いてほしい」と語った。