徳之島で水陸、喜界で空挺訓練 日米の連携強化、抑止力アピール

2023年03月04日

社会・経済 

パラシュートで降下する陸自第1空挺団の隊員=3日、喜界町長嶺

陸上自衛隊と米海兵隊による日米共同訓練「アイアン・フィスト(IF)23」は3日、離島防衛に関わる水陸両用、空挺作戦を徳之島と喜界島で行い、一部を報道機関などに公開した。徳之島では日米の水陸機動部隊が海岸で着上陸訓練を実施。輸送機オスプレイも飛来し内陸部で離発着した。喜界島では陸自第1空挺団がパラシュート降下を行った。徳之島では日米両訓練指揮官による共同会見もあり、より実戦的な訓練を通じた連携強化や対外的な抑止力向上をアピールした。

 

徳之島町の花徳浜では昨年11月に続き、離島侵攻を想定し島しょ防衛、奪還を図る着上陸訓練を実施。陸自水陸機動団、米海兵隊が連携し、沖合の日米艦艇から偵察ボートと水陸両用車(AAV)で隊員を海岸に運んだ。車両や物資を運ぶ日米の揚陸艇「LCAC(エルキャック)」も展開し、上空にはオスプレイ3機が飛来した。訓練の様子は一般にも公開され、住民らが詰め掛けた。

 

徳之島での訓練公開に伴い、米海軍は主に航空機支援のため訓練に参加している強襲揚陸艦「アメリカ」を報道陣に公開した。海兵隊ヘリで沖合の同艦まで移動し、広大な飛行甲板や航空機を点検・整備する格納庫を案内。搭載装備や特徴的な性能などを説明した。

 

喜界町長嶺地区の陸自第1空挺団によるパラシュート降下訓練では、日米の航空機から隊員約100人が着陸し展開した。付近では多くの住民らが訓練の様子を見守り、抗議する市民団体の姿も見られた。地上で米軍の活動はなかった。

 

日米機動部隊が展開した着上陸訓練とその上空に飛来した輸送機オスプレイ=3日、徳之島町の花徳浜

着上陸訓練が行われた徳之島の花徳浜では同日、陸自水陸機動団長の梨木信吾陸将補と米海兵隊のフリドリック・フリデリクソン准将による共同会見があった。今年度2回目となった日米軍事訓練の徳之島実施について、梨木陸将補は「生地(自衛隊施設外)のより実際に近い環境で練度を高めたい」と意義を強調。フリデリクソン准将は「沖縄に近く(米海兵隊が)サポートしやすい」と訓練の継続・拡大に期待を寄せた。

 

IFは水陸両用作戦を軸に装備展開や模擬戦闘、後方支援を実践する大規模演習。2006年から米国本土で毎年行い、日本国内では今回が初めて。2月16日から3月12日まで、徳之島や喜界島、沖縄県の米海兵隊駐屯地キャンプ・ハンセン、大分県の陸自日出生台演習場などで実施する。訓練全体の参加人員は自衛隊約800人、米側はキャンプ・ハンセンの第31海兵機動展開部隊や海軍第7艦隊など約900人。

 

奄美群島での日米軍事訓練は19年に初めて実施されて以来、今回で5回目。22年度は昨年8~9月と11月にも行われており、頻度を増している。海洋進出を強める中国を念頭に南西諸島の防衛強化を強調する狙いがあるとみられる。