新たな特産作物の産地化へ 実証ほ場でソバ播種式 宇検村・芦検

2023年10月18日

社会・経済 

暖地栽培に適した「さちいずみ」をまく関係者ら=17日、宇検村

奄美地域の新たな特産作物の産地化に向け、奄美群島農政推進協議会と宇検村は17日、同村芦検地区の栽培実証ほ場で秋まきソバの播種(はしゅ)式を行った。県や村の農業関係者ら約20人が出席。健苗(けんびょう)育成と豊作を祈願しながらソバの種をまいた。

 

同村でのソバ栽培の実証は2度目。2011年、サトウキビの輪作や遊休農地対策として、同村部連地区のほ場約10㌃で試験栽培したが、受粉不良や湿害などの影響で栽培の定着化には至らなかった。

 

今回の実証に当たり、水はけや日照など環境条件を見直した。芦検地区の遊休農地を活用し、約20㌃を秋まき、約10㌃を春まきのほ場として設けた。

 

秋まきの品種には、暖地栽培に適した「さちいずみ」と「鹿屋在来」の2種を選定。播種式では、手まきのほか、農業効率や生産性を高める「スマート農業」導入を目指し、農業機械メーカーのクボタ(本社大阪市)による播種実演もあった。

 

農政推進協事務局の大島支庁農政普及課の川越尚樹課長は「10㌃に5、6㌔まき、収穫が150㌔あれば実証結果は良好といえる。今回は蜂による受粉を行うほか、秋まきと春まきで湿害や風害など危険性の少ない作型を模索し、産地化を目指す」と述べた。

 

元山公知村長は「ソバは新たな特産作物としてだけでなく、既存の特産品とひも付けて発展性が見込める農作物。栽培実証が良い結果となることを願う」と期待を込めた。

 

秋まきの収穫は12月下旬から翌年1月上旬を見込む。春まきは2月上旬に「春のいぶき」の品種で実施される予定。

 

スマート農業の導入に向け、実演を見る関係者=17日、宇検村