瀬戸内町嘉徳「護岸設置が必要」  鹿地裁、公金差し止め請求棄却  県は工事再開、原告控訴へ

2023年02月18日

社会・経済 

県が護岸整備を計画する嘉徳海岸=16日、瀬戸内町

県が瀬戸内町嘉徳の嘉徳海岸で計画する侵食対策事業のコンクリート護岸整備は必要ないとして、集落住民ら10人が県を相手に工事への公金支出差し止めを求めた訴訟の判決で鹿児島地裁(古谷健二郎裁判長)は17日、原告の請求を棄却した。2014年の台風で削られた砂丘が担っていた防災的機能を回復させるには「護岸設置が必要」と工事の正当性を認めた。判決を受けて県側は中断している工事を早期に再開させる方針。原告側は判決を不服として控訴する構えだ。

原告側は、14年10月の2度の台風襲来後、嘉徳海岸の砂浜・砂丘は年々回復傾向で防災能力の低下はなく、護岸を設置すると逆に浸食を招くとして工事の費用対効果は見込めないと主張。ウミガメやオカヤドカリのほか、海岸につながる嘉徳川や金久川に生息する希少な生き物にも悪影響を及ぼすと訴えていた。

 

判決では「砂丘が元通りになるためには数十年単位の時間がかかる」とした県側の専門家(海岸環境工学)の証言を支持し、「過去に発生した現象が再度生じる恐れは十分にあるものと

考えるのが相当。強度の高い護岸を設置する必要があることは明らか」と指摘。県の計画は嘉徳集落の住民の意思を踏まえたものであり、自然環境などへの影響も十分考慮しているとして、「護岸設置のための公金支出は財務会計法規上違法なものではない」と結論付けた。

 

判決を受け塩田康一知事は「私どもの主張が認められたものと考えている。住民の生命や財産を守るため、早期に整備を進める必要がある」とのコメントを出した。

 

原告の一人であるジョンマーク高木氏(50)は「環境影響調査をやることなく判決が出たのはおかしい。納得がいかない。悔しい気持ちがあるがこれで諦めるわけにはいかない」と話し、控訴する考えを示した。