炭酸カルシウム散布が効果的 5~6月の粗摘果の徹底も 津之輝、生産技術研修会 奄美大島

2023年12月06日

社会・経済 

品質向上に向けて専門家と生産者が情報交換した津之輝生産技術研修会=5日、奄美市住用町

かんきつ類の新品種として奄美大島で導入が進む「津之輝(つのかがやき)」の生産技術研修会(県園芸振興協議会大島支部果樹技術部会主催)が5日、奄美市住用町の元井農園であった。県大島支庁農政普及課と県農業開発センター大島支場の担当者が、炭酸カルシウムの散布や7月上旬までの摘果による品質向上の効果を紹介。参加者は奄美大島の気候や環境に適した栽培方法について理解を深めた。

 

津之輝はポンカンに替わる新品種として注目されている中晩柑類。奄美大島では年内に収穫・出荷できるのが大きな利点で、奄美市では2014年から本格的な植栽が始まり、21には栽培面積が20ヘクタールを超えた。

 

研修会は津之輝の奄美大島での栽培方法や高品質化に向けた工夫を関係者で共有する目的。生産者や行政関係者ら約50人が参加した。県大島支庁農政普及課の松尾至身(てつみ)技術普及係長らは、6~9月の炭酸カルシウム剤の散布と5~6月の粗摘果の徹底で▽裂果、日焼け果、果面障害の減少▽糖度上昇▽着色促進▽小玉比率の抑制▽生産量増加―に効果があったと紹介。

 

収穫量と品質の安定化や作業労力の負担軽減に向け、夏の強勢枝を次の結果母子として利用する剪定(せんてい)方法なども共有された。

 

農政普及課の方法を実践した元井孝信代表(67)は「サイズ、量、色と今までにない最高の仕上がりになった。来年この量が確保できるかが課題だが、実現できれば津之輝は奄美に適したミカンと言えるのでは」と語った。同農園では9日から津之輝の販売を開始予定という。