観光需要喚起へ期待の声 全国旅行支援影響や反応 奄美大島

2022年10月16日

社会・経済 

観光客らが訪れた奄美大島世界遺産センター=15日、奄美市住用町

国の観光促進事業「全国旅行支援」が11日から始まり、新型コロナウイルス感染拡大下に落ち込んだ観光需要喚起へ期待が高まっている。県が独自に打ち出した離島旅行支援もあり、奄美大島でも関係業者への問い合わせが増加。観光客の増加が見込まれる一方で、制度利用のための事務手続きが追い付かない旅行会社からは、事業の効果を十分に受けられるかとの懸念も聞かれる。

 

全国旅行支援は、旅行の目的地となる都道府県ごとに実施。上限額の範囲内で旅行代金を最大40%補助し、旅先の店舗で使えるクーポン券も発行する。実施時期は都道府県ごとに異なり、鹿児島県は今月11日から12月20日までの旅行商品を対象としている。

 

さらに県は独自の支援策「今こそ鹿児島の旅第3弾」で、奄美群島など県内離島に宿泊する場合、旅行代金の割引額上限を上乗せ。感染防止対策の条件を満たした宿泊施設を平日に利用する場合、商品クーポン券の金額も上乗せする。

 

全国旅行支援を利用して喜界島から来島し、15日に家族3人で奄美市住用町の奄美大島世界遺産センターを訪れた熊谷澄佳さんは「フェリーの日程も合い、来れてよかった」と語った。同センターによると、すでに島外からの修学旅行などの団体客は増加傾向。受付担当者は「多くの人に来場してもらい、奄美の自然に理解を深めてもらえたらうれしい」と話した。

 

宿泊施設からは「コロナ禍以前の日常を取り戻すきっかけになれば」との期待も聞かれる。レンタカーも手掛けるホテルビッグマリン奄美(奄美市名瀬)の向井純一社長は「離島に配慮した支援はありがたい。全国旅行支援が始まって以降、宿泊もレンタカーも利用、予約が増えた」と話し、早々と効果を実感していることを強調した。

 

一方、都道府県ごとに制度設計が異なることから煩雑な手続きが増え、対応に追われる旅行業者も。奄美航空ツーリスト(本社・奄美市名瀬)の担当者は「販売準備中の状態が続いている。詳細を確認したいが、県側になかなか電話がつながらない。いつ予算額が限度に達して事業が終了するか分からないのも大きな不安」と嘆く。

 

事業の運用、利用を担っていないあまみ大島観光物産連盟にも問い合わせが寄せられており、関係者は「観光案内所では手続きも具体的な説明もできない。『県に問い合わせて』と応じるしかない」と困惑気味に話した。