農福連携で更生支援を 拡充見据え意見交換も 伊仙町で推進協議会

2024年01月17日

社会・経済 

更生支援をテーマに官民が意見交換した農福連携推進協議会=16日、伊仙町

過去に罪を犯した人たちの農業を通じた更生支援をテーマにした農福連携推進協議会in徳之島(鹿児島保護観察所主催)が16日、伊仙町面縄の奄美ブルースカイ農園(榮時弘代表取締役)であった。国、県、島内の関係機関や民間団体から約50人が参加。再犯防止への支援や取り組みを確認したほか、今後の連携拡充などを見据えて意見交換した。

 

同協議会は2019年度に国が示した農福連携等推進ビジョンに基づくもの。伊仙町と同農園は、アルコールや薬物などの依存症患者らの自立支援のための雇用の場として面縄地区にバレイショ処理加工・集出荷貯蔵施設を整備しており、今回の会合は同農園の取り組みを農福連携の先進例と捉え、事業への理解普及や関係団体の連携促進のために開催した。

 

開会あいさつで鹿児島保護観察所の佐藤好行所長は、再犯による服役者のうち、再犯時に無職だった人は有職者の2倍というデータを示し、「更生のためには就労が重要」と強調。同農園が矯正施設を出た人を受け入れて更生に協力している実績を紹介し、「徳之島から全国へ広がっていってほしい取り組み」と期待した。

 

会合には九州・沖縄の矯正施設を管轄する福岡矯正管区の職員らも出席。▽刑法犯で検挙された者の約半数が再犯者▽仕事がない、障がいがあるなどの理由が更生を困難にしている―などの現状を伝え、「矯正施設だけでなく地域社会での継続的な支援が必要」と連携を呼び掛けた。

 

意見交換では「小規模農業では採算が取れない。大規模農家の参入が必要」「就労に慣れていない人にとっては体力的に厳しい作業が多く、すぐに辞めてしまう」などの課題も挙がったほか、居住支援などでの実践例の報告もあった。