連続台風に漁業者悲鳴 「漁できないと死活問題」 奄美大島

2022年09月11日

社会・経済 

台風12号の接近を見通し、出漁を控え係留されている漁船=8日、奄美市名瀬

奄美群島の住民生活に長期間影響を与えた台風11号に続き8日、フィリピンの東海上で台風12号が発生した。今後発達しながら北上し、南西諸島へ接近する見通しだ。連続する2個の台風接近で、奄美群島近海は波の高い状況が続いており、船を出せない漁業者は「漁ができないと死活問題だ」と悲鳴を上げている。

 

名瀬漁業協同組合(満林春男組合長)によると、速度が遅く迷走した台風11号の影響で8月30日の競りを最後に、多くの組合員は出漁を見合わせた。9月は6、7日の競りが開かれず、取扱量15キロの日もあったという。

 

3日ぶりに競りが再開された8日は約500キロの水揚げがあったものの、9日の競りは約100キロと低調に終わった。同漁協の光岡史貴総務部長(39)は「台風12号の接近が予想され漁を控える組合員が多数を占めており、今後1週間近くは水揚げが少なくなりそう。早く台風が通過してほしい」と頭を抱えた。

 

名瀬漁港では9日、約20隻の船舶がロープで係留されていた。今月1、2日ごろから出漁を控えているという漁師歴約20年の50代男性は「収入が下がるのは痛手だが、台風は自然現象だから仕方がない。南の海上に台風に発達する可能性のある雲があるという予報もあるようで、次はいつ漁に出られるだろうか…」と肩を落とした。