防衛省、奄美関連35億円 瀬戸内火薬庫3棟増設 24年度予算案 県HPでも資料公開

2023年12月28日

社会・経済 

火薬庫整備が進む陸自瀬戸内分屯地=7月、瀬戸内町節子

防衛省は22日に閣議決定した2024年度予算案で、奄美群島内の自衛隊施設整備関連に約35億円を計上した。陸自瀬戸内分屯地(瀬戸内町節子)では新たに火薬庫3棟を増設する計画を示し、隣接地の取得費用に約25億円を計上。陸自奄美駐屯地(奄美市名瀬)に配備されている対空ミサイル発射車両の整備場の設計などに約1億円、空自沖永良部分屯基地(知名町)の固定式警戒管制レーダー装置の改修費に約5億円などを計上した。

 

陸自瀬戸内分屯地の火薬庫は、当初5本のトンネルを掘削する計画で18年から整備が始まった。12月25日時点で2棟が完成し、1棟が工事中。残り4、5棟目は23年8月に工事契約し、工事着手に向けた準備を進めている。防衛省は今後さらに3棟増設するため、24年度は用地の買収を目指す。

 

陸自奄美駐屯地では、すでに配備されている03式中距離地対空誘導弾(中SAM)の発射装置車両の整備場調査、設計を進める。整備場は同駐屯地内に整備し、工事の着工時期は未定。

 

空自関連では、周辺国によるミサイル驚異の高まりを念頭に、極超音速滑空兵器(HGⅤ)の探知・追尾能力などを向上させるため、沖永良部分屯基地の固定式警戒管制レーダー装置(FPS―7)の改修費を盛り込んだ。さらに空調施設整備など、同分屯基地の施設整備経費には計約8億円を計上した。一方、警戒管制レーダーの遠隔操作機器材の導入を踏まえ、宇宙・サイバー・電磁波領域の態勢整備に向けた人材確保のため同分屯基地の定員は現在の約150人から約130人に減じる。

 

空自奄美大島分屯基地(奄美市笠利町)には、対空無線機受け入れ施設の整備に約1億円を計上した。

 

県内の自衛隊施設整備に関する24年度防衛省予算案資料は、県ホームページ(危機管理・防災)でも公開している。

■馬毛島に先遣隊90人

西之表市馬毛島関連では、米軍再編関係措置として、米空母艦載機移駐のための施設整備などに302億円を計上したほか、航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの発着艦訓練を行う艦艇模擬施設整備費に約5億円を計上。さらに馬毛島基地(仮称)運用開始に向け、「航空自衛隊馬毛島先遣隊(仮称)」を新設し、24年度末までに定員90人を配置する。海上自衛隊も同基地の港湾管理に向け佐世保地方総監部(長崎県)に準備室を設置し、約10人を配置する。