3737柱の冥福祈る 慰霊塔修復にGCF活用 伊仙町・戦艦大和慰霊祭

2023年04月08日

社会・経済 

献花で英霊の冥福を祈る参列者=7日、伊仙町総合体育館

戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊の戦没将士慰霊祭(同実行委員会主催)が7日、伊仙町総合体育館であった。地元関係者や遺族、自衛隊関係者など島内外から約110人が参列し、78年前に祖国防衛のために散った3737柱の冥福を祈った。大久保明町長は、同町犬田布岬にある慰霊塔の修復費を、ふるさと納税を活用したガバメントクラウドファンディング(GCF)で募ると発表。国内に広く協力を求める考えを示した。

 

慰霊祭は今年で56回目。例年は犬田布岬で行われているが、悪天候のために会場を変更した。参列者は大和が沈没したとされる午後2時23分に合わせて黙とう。神事と献花で英霊たちの冥福を祈ったほか、大久保町長と航空自衛隊那覇基地第9航空団司令の鈴木繁直空将補(52)が慰霊の言葉を述べた。式典では空自南西航空音楽隊の隊員15人が慰霊の演奏を行った。

 

1968年に完成した慰霊塔は老朽化が進み、地域住民や遺族から修復を求める声が上がっている。GCFの目標額は1億円。大久保町長は「現在、ロシアのウクライナ侵攻などで、今後の世界がどうなるか分からない状況。慰霊塔を修復して平和の大切さを訴えたい」と修復の意義を強調して協力を求めた。

 

慰霊祭は高齢化で遺族の出席が減少。今回出席した遺族は、伯父が大和に乗艦していたという金田克明さん(67)=兵庫県=だけ。金田さんは「念願がかなって初めて徳之島に来た。地元の人たちが長い間、大和を悼んでいることを知って非常にありがたく思う。慰霊塔への寄付にも喜んで協力したい」と感謝した。

 

戦艦大和は1945年4月6日、山口県徳山湾沖から沖縄へ向け出撃。翌7日に鹿児島県坊ノ岬沖で米軍の攻撃を受けて沈没した。沈没地点は長らく徳之島西方沖とされてきたが、その後の調査で坊ノ岬沖であることが分かった。