観光振興へ連携探る 講演、討論で情報交換 奄美・沖縄交流事業

2023年11月29日

社会・経済 

観光面での地域間連携をテーマに基調講演とパネルディスカッションを行った奄美・沖縄経済交流事業=28日、奄美市名瀬

奄美大島商工会議所と沖縄県の南西地域産業活性化センター(NIAC)は28日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で奄美・沖縄経済交流事業を実施した。副題に「観光産業連携の可能性を探る」を掲げ、有識者による基調講演とパネルディスカッションで両地域の現状や人材不足などの課題を共有。奄美・沖縄各地域の視点で観光振興を捉え、民間が担う連携の在り方を話し合った。

 

同事業は、経済や文化など幅広い分野で奄美・沖縄の連携を促し、持続的な振興発展につなげることが目的。2006年度に始まり、新型コロナウイルス禍による20年度から3年連続の中止を経て今年、4年ぶり13回目の実施となった。

 

開催に当たり、奄美大島商議所の有村修一会頭は「奄美・沖縄の世界遺産登録が実現し、両地域連携の重要性は高まっている」、NIACの玉城秀一専務理事は「米軍政化を経て日本復帰した歴史を持つなど共通点が多く、一層の関係深化を期待したい」とあいさつした。

 

基調講演は沖縄経済同友会副代表幹事の東良和氏が地域観光の現状について解説。▽人手不足改善による生産性向上▽離島間や地域内の交通手段確保│など課題を指摘し「奄美・沖縄両地域の官民が積極的、具体的に協働していく努力と工夫が必要」と話した。

 

パネルディスカッションでは奄美・沖縄双方から観光関連企業、団体関係者各2人が登壇。今年8月に鹿児島、沖縄両県と奄美群島広域事務組合が締結した連携協定などを踏まえ、民間レベルの連携へ向けた取り組みや将来像について、見解を交えて情報交換した。

 

奄美側から登壇した奄美大島観光協会の越間得晴会長は「観光振興の陰で人材不足は深刻化し、過剰な観光利用の懸念も少なくない。地域の実情に応じた観光施策を探る必要がある」と強調。奄美群島観光物産協会の山下久美子統括リーダーは「奄美・沖縄の文化を対比させたり、組み合わせたりして新たな観光商品を開発する取り組みを推進したい」などと語った。