元さん、難関の6段合格 病後、20年越し悲願達成 全日本空手道連盟公認段位審査
2021年08月11日
スポーツ
全日本空手道連盟による2021年度公認段位審査会の結果がこのほど発表され、県立大島高校空手道部の外部コーチを務める元博通さん(70)=奄美市名瀬=が6段に合格した。合格率は20%ほどの難関といわれる6段以上の取得者は奄美では3人目。元さんは「病気をした後だったので喜びも格別。当面の目標は9月にあるマスターズ大会での優勝」と前を見据えた。
公認6段の試験は年1回実施。筆記と実技があり、実技は形二つ、組手1試合を行う。受審資格は、公認5段取得5年以上の満34歳以上にある。
元さんは大学から空手を始め、1993年に5段を取得。順当に6段にも挑戦していたが、なかなか成果が実らず一度は諦めてしまったという。
教職を務めて約40年。大島高校では世界史を教えながら空手道部で後進の指導にあたっていたが、5年前に脳出血で倒れて入院。2カ月間、病室の天井を眺める日々が続いた。
立ち上がれない、歩けない状態から自分を奮い立たせようと、もう一度空手を始めることを決意。リハビリに取り入れて少しずつ体が動くようになっていった。
審査会には昨年もチャレンジしたが昇段ならず。悔しさをばねに正月も返上で毎日練習を重ね、受審資格を得てから約20年、5度目の挑戦で合格をつかみ取った。元さんは昨年12月に剛柔流の7段に合格しており、「結果が励みになった」と振り返った。
座右の銘は「氣」。何事も気持ち次第。教え子たちには、常に謙虚で礼儀正しくあるように説き、自身もそれを心掛ける。
元さんが公認7段の受審資格を得るのは6年後の2027年以降。「もちろん挑戦するつもり」と笑顔で話した。