国立公園奄美大島・徳之島地域検討会が管理計画素案を協議

2019年03月16日

自然・気象

奄美群島国立公園奄美大島地域及び徳之島地域管理運営計画の素案を協議した検討会=15日、天城町役場

奄美群島国立公園奄美大島地域及び徳之島地域管理運営計画の素案を協議した検討会=15日、天城町役場

 奄美群島国立公園奄美大島地域及び徳之島地域管理運営計画策定検討会(座長・星野一昭鹿児島大学特認教授)の第2回会合が15日、天城町役場であった。国、県、自治体担当者ら約30人が出席。保全すべき景観・自然環境として、景観特性別に区分した奄美大島16カ所、徳之島7カ所の保全・利用方針などを含めた計画素案を協議。自然価値を保全しながら適正な利用を進める国立公園の管理方法について意見を交わした。

 

 同計画は自然公園法に基づいて国立公園の適正な保護、利用を推進する目的で群島内5島を対象に策定する。奄美大島と徳之島は世界自然遺産の推薦地になっていることから、先行して計画策定を進めている。

 

 素案では両地域が目指す国立公園の将来像(ビジョン)を、①世界自然遺産としての価値を守り続ける②自然と人が深くかかわり共生してきた文化を大事にする③地域に活力をもたらす―に設定。

 

 外来生物の侵入・拡大やごみの漂着などによる自然景観の劣化対策といった両地域の国立公園内の課題を踏まえ、管理運営方針を▽亜熱帯照葉樹林をはじめとする島の生態系の持続的管理▽地域住民や関係者が連携して管理運営に参画する協働型の体制づくり―など5項目とした。

 

 保全すべき景観・自然環境は「山地景観」「マングローブ林」「海岸景観」「シマ(集落)景観」の4タイプに分類。奄美大島は奄美市の金作原やマングローブ群落など16カ所、徳之島は井之川岳や犬田布岬など西部海岸の7カ所と定めた。

 

 保全に向けては、固有・希少動植物の密猟・盗掘対策、外来生物の対策を推進する。利用の方策として、マナー向上やエコツーリズムの推進、自然環境に配慮した利用適正化などを掲げた。

 

 出席者からは「外来生物駆除後の適切な処分方法の明示」「野生化した猫(ノネコ)対策は駆除だけでなく、発生源対策も盛り込むべき」などの意見があった。

 

 今後は4月にも開く第3回会合で計画案を協議し、環境省が実施するパブリックコメント(意見公募)を経て計画を策定する。喜界、沖永良部、与論の3島では2019年度、計画策定に向けた調査や有識者へのヒアリング、住民との意見交換会を実施する予定。