大島海峡で新種発見 「カリベレムノン ヒノエンマ」 妖怪にちなみ命名 瀬戸内町

2020年11月27日

自然・気象

大島海峡で発見された新種の「カリベレムノン ヒノエンマ」(提供写真)

大島海峡で発見された新種の「カリベレムノン ヒノエンマ」(提供写真)

 琉球大学は24日、同大大学院の研究チームが瀬戸内町の大島海峡でフタゴウミサボテンモドキ類の新種を発見したと発表した。吸血鬼を連想させる赤い口が特徴で、学名は男性を惑わす美しい妖怪「飛縁魔」にちなみ「カリベレムノン ヒノエンマ」(和名・ユウレイフタゴウミサボテンモドキ)。研究チームは「地元の人が興味を持つきっかけになれば。焦点の当たりにくい分類群の調査を継続し、生物多様性の全容の解明にさらに近づきたい」と期待している。

 発見したのは同大大学院理工学研究科海洋環境学の大学院生櫛田優花さんと同大学理学部海洋自然科学科生物系のジェイムス・デイビス・ライマー准教授による研究チーム。水深30~38メートルの砂泥で採集し、国際的な学術誌「マリンバイオダイバーシティ」の電子版に18日付で新種として記載された。

 フタゴウミサボテンモドキはウミエラ目の海洋底生動物で、近縁の生物にソフトコーラルや宝石サンゴを含むヤギ類、アオサンゴの仲間などがいる。ウミエラの仲間は世界中の浅海~深海の砂泥に生息し、立体構造物の少ない砂泥環境で生き物たちの住処や隠れ家として重要な役割を果たしているという。

 大島海峡で採取された新種は、遺伝子の特徴から深海に生息するウミエラ類と近縁と分かった。櫛田さんらは同種が生息深水を変えながら深海性ウミエラ類から進化したとみている。

 櫛田さんは「サンゴ礁に比べて砂泥環境は調査が進んでおらず、新種発見が注目のきっかけになればうれしい。生物多様性を支える身近な環境を地元の人に誇りに思ってほしい」と話した。