海洋生物研興会長が赤土流出対策学習会で講演

2018年02月27日

自然・気象

海洋生物の保全と活用をテーマに講演する興克樹さん(左)=26日、奄美市名瀬の奄美会館

海洋生物の保全と活用をテーマに講演する興克樹さん(左)=26日、奄美市名瀬の奄美会館

 2017年度赤土等流出防止対策学習会(奄美地域赤土等流出防止対策協議会など主催)が26日、奄美市名瀬の奄美会館であった。行政や建設会社など関係者約50人が出席。奄美海洋生物研究会会長の興克樹さんが講演し、奄美の自然の希少性とその環境を守っていくことの大切さを訴えた。

 

 講演に先立ち鎮寺裕人・県大島支庁長は「広い範囲で確認された漂着油の回収作業は皆さんのおかげで順調に進んでいる」と感謝しつつ、「赤土防止対策についても行政、事業者、住民が一体となって対策に取り組んでいこう」とあいさつ。大島本島地区赤土流出防止対策優良事例として、宇宿ゆいの郷ティダむらづくり隊(奄美市笠利)を表彰した。

 

 講演のテーマは「地域資源としての海洋生物の保全と活用」。サンゴ礁の調査を長年続けている興さんは、サンゴが死滅する要因として、高い海水温による白化現象とオニヒトデによる食害の例をスライドを使って紹介。その上で「もう一つが赤土と生活排水の影響。きれいな環境を整えれば奄美のサンゴには自ら回復する力がある」と話し、赤土流出対策などの必要性を強調した。

 

 また、ウミガメの生態についても解説。「アカウミガメが産卵するのは日本だけで、そのうち県内が6~7割を占める。世界的にも鹿児島、奄美の砂浜を守ることは最重要課題だ」と指摘した。

 

 近年、奄美でホエールウオッチングの需要が増加していることなどを例に「この多様な自然を後世に残し、地域づくりに活用していければと思う」とも述べ、環境保全の重要性を訴えた。