和泊町伊延で人工シラスウナギ大量生産へ

人工シラスウナギの大量生産実現に向けて協定を結んだ新日本科学の永田社長(右)と和泊町の伊地知町長=20日、同町役場

人工シラスウナギの大量生産実現に向けて協定を結んだ新日本科学の永田社長(右)と和泊町の伊地知町長=20日、同町役場

 医薬品開発の受託国内最大手㈱新日本科学(本社・東京都、永田良一代表取締役)が沖永良部島で、シラスウナギ(ニホンウナギの稚魚)の人工種苗の大量生産に向けた事業を展開する。同社と和泊町は20日、新たな水産業創出に向けた協定を締結した。国内でシラスウナギの不漁が続く中、人工種苗による大量生産技術の確立と、島の新たな産業創出に期待が高まっている。

 

 シラスウナギは近年、乱獲などで採捕量が激減。国際自然保護連合(IUCN)は2014年、ウナギ資源が枯渇しているとしてニホンウナギを絶滅危惧種(IB類)に指定した。

 

 養殖ウナギの生産量全国トップを誇る鹿児島県もシラスウナギの採捕量が近年大幅に減少。県内養鰻業者は、シラスウナギを中国からの輸入に頼っているのが現状で、人工種苗での大量生産技術の確立が望まれている。

 

 同社は前臨床(臨床研究の前段階)試験受託で国内トップの東証一部上場企業。米国、中国などにも拠点を構え、グループ会社を含む従業員数は2千人余。

 

 人工シラスウナギ生産事業は、県内養鰻業や日本古来の食文化を守ろうと、14年から鹿児島市の本店研究施設で着手。17年11月には世界初の「閉鎖式循環システム」を用いたシラスウナギ生産に成功し、昨年夏から研究拠点を指宿市に移して大量生産に向けた研究開発を行っている。

 

 今後は同社がこれまでの研究で得た技術と、沖永良部島の高温で、きれいな海水を生かし、シラスウナギの大量生産実現に向けた取り組みを進める。

 

 同社は伊延港近くの町有地を賃借契約し、「今後、速やかに研究拠点を構え、一連の種苗生産を整えた上で、大量生産事業化への展開を図る」としている。

 

 20日、和泊町役場で協定調印式があった。永田社長は「まずは今後3年間でシラスウナギ1万尾を生産し、最終的には鹿児島で必要な量の6千万尾を目標としている。大きなエネルギーが必要だが、あきらめずに一歩ずつ進み、島の活力につなげたい」と抱負を語った。

 

 伊地知実利町長は「医薬品の前臨床関係の業界で国内トップの企業が本町に進出することは大変うれしく、感謝の気持ちでいっぱい。今後の研究成果が楽しみであり、豊かな自然を生かした島独自の産業が生まれることで地域の振興発展の力になることを期待したい」と歓迎した。