自然遺産関連に2.4億円 おがみ山バイパス着工予算計上 県予算案・奄美関係

2023年02月11日

政治・行政

【鹿児島総局】県は10日、2023年度当初予算案を発表した。奄美関係では奄美大島・徳之島の世界自然遺産価値の保全や同じく世界自然遺産地域の屋久島、沖縄との連携による効果波及に向けた関連予算として、総額約2億4100万円を計上。奄美群島日本復帰70周年を祝う記念事業、23年度末で期限切れとなる奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)延長対策事業などを新規に組み込んだほか、国道58号おがみ山バイパス(奄美市名瀬)事業再開へ、一部着工予算も盛り込んだ。

 

世界自然遺産価値の保全では、金作原(奄美市名瀬)と林道山クビリ線(徳之島町)の利用ルール運用を継続。屋久島、奄美大島、徳之島の若い世代を対象に、各地域で自然体験交流を展開し、保全意識の醸成を図る。

 

世界自然遺産価値の波及効果に向けては、屋久島と奄美大島・徳之島の各遺産地域の魅力発信事業を新規に計上。県民向けの企画展や講演会、児童生徒への出前授業などを行う。両遺産地域の周遊を促進する旅行商品造成への支援や、沖縄県と連携した首都圏での観光プロモーションも実施する。

 

奄美群島日本復帰70周年記念事業は、11月11日に開かれる記念式典、祝賀会の開催費用の県負担金を計上。奄振法延長対策事業は今年度実施している総合調査の結果を踏まえた次期奄振開発計画策定の準備や、延長・改正に向けた予算要望活動に掛かる費用を盛り込んだ。

 

道路整備では国道58号おがみ山バイパス事業の再開に向けた用地買収を進めるほか、買収が進み工事可能な箇所から順次着工する。1月末時点の用地買収率は90%超。県道名瀬瀬戸内線伊目工区は、今年度開通した眞久慈(まくじ)トンネル内の照明や周辺道路を整備する。

 

空港整備は奄美空港、徳之島空港の滑走路端安全区域の拡張や喜界空港の滑走路舗装工事などを行う。港湾整備では、亀徳、湾、和泊各港の防波堤整備を継続する。電線共同溝整備事業は、和泊町和泊と与論町茶花の県道沿いの電線地中化を進める。

 

奄美群島振興交付金を活用した関連事業も継続する。奄美群島の住民や出身者らを対象にコスト負担を減らす航路・航空運賃軽減事業に総額10億9085万円、農林水産物等輸送コスト支援事業に6億9670万円を盛り込んだ。地域の裁量に基づく産業振興の取り組みを支援する成長戦略推進交付金には9億1721万円を計上した。