通行規制、一定の成果 土地利用などで住民から要望も 徳之島利用適正化連絡会議

2023年02月11日

世界自然遺産

山クビリ線の通行規制について協議した徳之島利用適正化連絡会議=10日、徳之島役場

世界自然遺産登録による観光客増加を見据えた徳之島利用適正化連絡会議が10日、徳之島町役場であった。環境省、県、関係機関の担当者や地元集落代表など26人が出席。自然環境の保全などを目的とした同町の山地区と花徳地区を結ぶ林道「山クビリ線」の車両通行規制について、希少野生動物の交通事故死(ロードキル)の減少など一定の成果を確認した。集落代表からは、地元住民の土地利用などで要望もあった。

 

連絡会議は環境省、林野庁、県、徳之島町の4者で事務局を組織。自然環境の負担軽減と質の高い自然体験の両立を目的に、年1回開いている。今回は2019年7月に施行した同林道の利用ルールの運用状況と効果を検証した。

 

ルールの内容は▽山と花徳側に門扉を新設し、支線を含む3カ所を施錠し通行を規制する▽観光や調査・研究などを目的とした利用は申請が必要-など。さらに観光利用に関しては▽認定ガイドの同行の義務付け▽ツアー客の人数制限▽車両の速度制限-などを設けた。

 

事務局によると、ルール施行前後の1日平均の車両入込台数は、施行前の2・03台に対し施行後は0・98台と半減。国指定特別天然記念物のアマミノクロウサギのロードキル件数は施行前の1年間が4件だったのに対し、施行後は0件(23年2月10日現在)が続いている。

 

また、ノネコ捕獲用のわなにクロウサギがかかって死んでいた問題に関して同省は「クロウサギを守るための事業でこういう事態が起きたことは申し訳なく思っている」と陳謝した。

 

会議後、集落共有林組合の代表は「規制の影響で昔から自分たちで守ってきた土地が自分たちで管理できなくなるなど、住民が締め出されている感じが拭えない」と不満を示し、「保護地区内の林道も管理がずさん。地元に委託するなど柔軟な対応を取ってほしい」と注文をつけた。