オオトラツグミ64羽確認 野鳥の会一斉調査に64人 奄美大島

2025年03月18日

奄美大島だけに生息するオオトラツグミ(参考写真)

奄美大島だけに生息する国の天然記念物の野鳥オオトラツグミの一斉調査が16日、島を縦断する奄美中央林道であった。島内外から64人が参加。林道を歩いて鳴き声を聞き取り、64羽の生息を確認した。30年以上調査を行っているNPO法人奄美野鳥の会は「ここ5年ほど100羽前後で推移しているので少なく見えるが、当日の悪天候などの影響が大きいと思われる。継続調査が重要」と述べた。

 

調査は奄美市名瀬から宇検村までの中央林道と支線など約42キロで実施。参加者は夜明け前の午前5時半から1時間、2人1組で往復4キロを歩いてオオトラツグミのさえずりに耳を澄ませた。「キュロロン」という特徴的な鳴き声を確認すると、方角や時間を地図に記録した。

 

奄美野鳥の会はオオトラツグミの生息状況を把握して保護につなげる目的で1994年から毎年、繁殖期の3月を中心に外部の愛好家らと共にボランティアで一斉調査を実施している。確認数は近年100羽前後で推移し、2024年は過去最多の117羽を記録した。

 

同会の永井弓子会長(50)は「雨や風であまり声が確認できなかったことと、今年は寒い日が多かったためさえずりのピークが遅れている可能性がある」と分析。「中央林道は道の崩落などの懸念事項もあるが、今後もなるべく同条件で調査を継続し実態の把握に務めたい」と語った。

 

オオトラツグミは奄美大島の原生的な照葉樹林内に生息。森林開発などで生息数が減少し、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類。1993年に種の保存法に基づく国内希少種に指定され、保護されている。