合同の避難実施要領作成へ 国民保護連絡調整協が発足 26年度末の策定目指す 奄美大島5市町村

2025年03月25日

政治・行政

5市町村合同の避難実施要領作成に向けて開かれた、奄美大島国民保護連絡調整協議会の設立総会=24日、奄美市名瀬

他国からの武力攻撃などの有事に備え、住民の避難措置などを決めておく「国民保護計画」に関連し、奄美大島5市町村による「奄美大島国民保護連絡調整協議会」の設立総会が24日、奄美市役所であった。5市町村の首長や防災担当課職員ら約20人が出席。県の避難実施要領に基づいて2025年度内に自治体ごとの避難実施要領を作成し、26年度末までに5市町村合同の避難実施要領の策定を目指す方針を確認した。

 

協議会設立を巡っては、「国民保護に関する体制整備は喫緊の課題」との認識から、24年3月に瀬戸内町が奄美大島の各首長に5市町村合同協議会の設置を提案。同年4月から事務レベルで活動計画の協議、関係機関への協力要請を進めてきた。

 

協議会設立を呼び掛け、同会会長を務める瀬戸内町の鎌田愛人町長は「有事に対して奄美大島の島民をいかに守るかが重要な課題だ」とあいさつ。議事では国、県が示した鹿児島本土や熊本、宮崎各県への避難措置の概要説明があり、県想定の避難タイムラインで奄美大島の避難完了が14日かかることが報告された。

 

25年度は今年1月に沖永良部島であった国民保護共同実動訓練の課題を踏まえ、5市町村は要避難者数や搬送車両、船、バスの収容人数など、必要なデータを把握した上で避難実施要領をそれぞれ作成する。各市町村の総務課長で構成する幹事会を複数回開催して、航空航路の運航スケジュールに応じた5市町村合同の避難実施要領案も作成し、県が試算した奄美大島からの避難日数短縮を検討する。

 

また、避難実施要領作成には交通関係者らの協力も不可欠なことから、25年度の早い時期に民間団体を含めた協議体を立ち上げ、官民連携して協議を進める。

 

各首長からは「島外避難の交通手段の割り振りはどう進める」「避難した後のことはどうするのか」などの意見があった。

 

設立総会後に記者会見があり、鎌田会長は「一つの町の住民が避難できればいいというものではなく、交通手段も限られている。有事に備えて5市町村、関係機関が連携し、住民の安全安心を守っていくことが大事」と述べた。