貴重な固有種守ろう ヒメタツナミソウ研究報告会 喜界町

2025年04月03日

ヒメタツナミソウの特徴や魅力を紹介する兵庫教育大大学院の山本将也講師と聴講者ら=3月29日、喜界町

喜界島に自生する固有植物ヒメタツナミソウの研究報告会(喜界町教育委員会主催)が3月29日、町役場多目的室で開かれた。地元住民ら約60人が参加。現地で調査に取り組んだ兵庫教育大大学院の山本将也講師と同大の学生2人がヒメタツナミソウの特徴やルーツを紹介し、貴重な植物でありながら人里近くに生育する固有種を、自然のまま保護していく大切さを伝えた。

 

ヒメタツナミソウは環境省レッドリストで絶滅危惧IB類、国内希少野生動植物種。シソ科の多年草で葉の長さは5~9ミリ。白色や淡紫色の小さな花を咲かせる。町は2001年に自生地3カ所を町天然記念物に指定したが、除草剤の使用や工事などで数が減少。21年にヒメタツナミソウとその自生地計18カ所を天然記念物に指定し、生態調査や住民への普及啓発に取り組んでいる。

ヒメタツナミソウ

 

山本講師は「ヒメタツナミソウよもやま話」と題し講演。タツナミソウの仲間は世界中に500種以上存在するがヒメタツナミソウの花は最も小さな部類に入り、種が無くても茎から発根し分身するなどの特徴を紹介した。

 

 

後半は同大4年生の川本晴希さんと福井萌花さんが研究成果を発表。ヒメタツナミソウは屋久島から石垣島に生育する近縁種アカボシタツナミソウのうち、徳之島を含め南部に分布する沖縄系統種が、鳥や海流によって喜界島に運ばれたとする可能性を考察した。

 

また、現存する個体は約6割がクローンで遺伝的な多様性が低く、どの虫が受粉に貢献しているかなど調査した上で種の保全計画を立てる重要性を訴えた。

 

同町中里の緋月真歩さんは「島の言葉を伝える活動をしているが、ヒメタツナミソウも島にしかない固有種。言葉と同じように守るべき大切なものだと思った」と話した。