島の地域課題に一石 ペット飼育環境の改善訴え 高校生サミットで徳之島高校

2025年04月03日

子ども・教育

高校生サミットで犬猫問題を取り上げた徳之島高校の発表=3月19日、奄美市名瀬

犬や猫は「家族」という意識を|。3月19日に奄美市名瀬の大島高校で開かれた高校生サミットで、徳之島高校の生徒3人が約500人の聴衆に訴えた。発表テーマは徳之島のペット飼育環境の向上。1年間かけて調査してきた島内の犬猫の現状について報告し、「島民の意識の改善が必要」と島が抱える課題に一石を投じた。

 

高校生サミットは県内5大学や奄美群島の9高校、国内の学術機関などで組織する奄美群島高校探究コンソーシアムが主催。群島内外の高校生の交流促進や地域の課題解決へ向けた探究活動の発表の場として昨年に始まった。

 

徳之島高校を代表してサミットに参加したのは、当時2年生の森太陽さん、古屋樹輝さん、久保友希さん。報告を行った徳之島の犬猫の問題については、研究グループ11人で調査、研究してきた。

 

森さんらは島で実際に起きている問題として、ペットが繁殖し過ぎて飼い主が管理不能に陥る「多頭飼育崩壊」や、その原因となっている放し飼いが多いこと、徳之島保健所の犬の収容状況│などを報告。闘牛大会で子犬が景品にされていた事例も紹介し、「ペットは家族として迎え入れるべきなのに、徳之島の犬猫に対する意識は家族とは大きく異なる」と指摘した。

 

さらに校内、一般を対象に行ったアンケート調査の内容も報告。法律で禁じられている畜舎でのペット飼育について、一般は7割が「飼育しない方がよい」と回答したのに対し、徳之島高校の生徒は4割だった結果を示し、「私たち若い世代に正しい知識を伝えることが重要」と主張。絵本やポスターの製作、小学校低学年への読み聞かせなど、改善に向けた活動についても報告した。

 

発表に対し、東京大学大気海洋研究所の早川淳准教授は「ボランティア活動と探究活動は異なる。皆さんの取り組みは長期間、検証を重ねて客観的に見直す必要がある」と指摘し、「今回実施したアンケート調査や活動を継続することで変化が起きる可能性がある。この取り組みを後輩につなげて」と激励した。

 

サミットには奄美群島の全高校と県外の高校の計10校が参加。3人の発表は多くの若者に徳之島の抱える課題を広く伝える機会になった。グループ代表を務めた森さんは「緊張したが、多くの同年代に徳之島の現状を知ってもらえたことが何よりの収穫」と笑顔を見せた。

 

徳之島で犬や猫の保護に取り組む犬猫愛護推進チーム「12(わんにゃん)ウェルビー」の政田由美子代表(52)は「犬や猫の問題に対して強い思いを持って一生懸命に調査していた」と研究グループの姿勢を評価し、「SNS(インターネット交流サイト)の活用など若者の力に期待している。今後も学生たちに協力しながら改善に取り組みたい」と展望を語った。

(赤塚臨)