おがみ山トンネル掘削開始 27年上半期の貫通目指す 奄美市名瀬
2025年04月26日
政治・行政

掘削作業が始まっているおがみ山トンネル=24日、奄美市名瀬の真名津側坑口
交通渋滞の緩和や災害対応の強化などを目的に、奄美市名瀬で進められている国道58号おがみ山バイパスで整備する「おがみ山トンネル」の掘削工事が16日から、同市名瀬の真名津側坑口で始まっている。現場周辺は住宅地や学校があることから、住民生活への影響を考慮して騒音や振動への対策に加え、工事車両が出入りする工事現場近くに警備員を配置するなど安全面にも配慮しながら作業を進め、2027年度上半期ごろの貫通を目指す。
おがみ山バイパス事業は02年度に事業着手していたが、「地元の合意形成が不十分」として09年度から一時中断。早期整備を求める同市からの要望もあり19年度に事業再開し、用地取得などを進めてきた。
県大島支庁建設課によると、バイパス事業の総整備区間は名瀬永田町―名瀬平田町の総延長約1・8キロ。うち名瀬永田町と名瀬真名津町を結ぶトンネルは延長1225メートルで、真名津町側から掘り抜く計画。トンネル工事の工期は24年3月に始まり、これまでに真名津側坑口で地盤改良や擁壁工、盛り土などを行い、騒音低減などを目的とした防音ハウスを整備した。
防音ハウス内には昼夜問わず、環境に配慮しながら作業できるよう、コンクリートを製造するプラントやずり(土砂)仮置き場、濁水処理施設、換気設備を設ける。掘削現場周辺では工事車両通過時の振動軽減や粉じん飛散防止などの対策を講じる。
トンネル掘削で発生した土砂は午前8時から午後4時ごろまで、3~4分間隔で搬出する。工事用道路と国道58号の合流地点周辺には警報装置の設置、交通誘導員を配置し、交通事故防止に努める。
現在は日中のみ作業を行っているが、騒音や振動に関するデータを収集した上で、今後夜間の掘削作業を進める。地質に応じて掘削方法や山を補強する方法を変えながら施工する。
トンネル工事の工期は27年12月17日を予定している。掘削完了後はトンネル内の照明や舗装工事に加え、道路改良工事もあることから、おがみ山バイパスの完成、供用開始時期は現時点で未定。トンネル本体工事の契約金額は約75億円で、バイパス事業全体の事業費は約185億円。
同課の池水清人課長は「工事現場周辺には学校や住宅があり、騒音や振動など生活環境に配慮していく。工事車両の往来が増え、ご迷惑をかけることもあると思うが、安全対策を万全にしながら事業を進めていきたい」としている。