寄付件数5年ぶり10万件割れ 寄付総額16億2千万円 24年度ふるさと納税 奄美群島

2025年05月04日

社会・経済 

 古里など応援する自治体に寄付を行うことで税金の還付・控除が受けられる「ふるさと納税」。南海日日新聞が奄美群島12市町村を取材した結果、2024年度寄付総額(速報値)は前年度比2・7%増の16億2858万円だった。寄付件数は同14・4%減の9万9102件となり、19年度以来5年ぶりに10万件を下回った。23年10月から適用された総務省のふるさと納税制度一部見直しに伴い、多くの自治体で返礼品価格を引き上げたことによる、需要低迷が背景にあるとみられる。

 

ふるさと納税は、個人が任意の自治体に寄付した金額のうち2千円を超える分について、所得税の還付や住民税の控除を受けられる制度。寄付者には地域の特産品など返礼品が贈られ、自治体は税収増により地場産業振興、地域活性化などを図ることができる。

 

奄美群島内で寄付額トップは徳之島町の4億5494万円(前年度比6・0%増)。奄美、瀬戸内、喜界、徳之島、与論の5市町で1億円を超えた。

 

寄付額は奄美、宇検、瀬戸内、喜界、徳之島、天城、与論の7市町村で増え、大和、龍郷、伊仙、和泊、知名の5町村で減った。

 

寄付件数は徳之島町の4万4264件が最多。同町のほか、宇検、喜界、与論の4町村で増加し、奄美、大和、瀬戸内、龍郷、天城、伊仙、和泊、知名の8市町村で減少した。

 

徳之島町は寄付額、寄付件数ともに前年度を上回り、群島トップを維持。担当者は「返礼品として活用できる特産品が限られる中、同じ特産品でも寄付額や数量を変えて選択肢を増やし、生産者のストーリーを紹介して返礼品の付加価値を上げるなど、徳之島町に寄付したいと思っていただける取り組みを実施した」と説明した。

 

与論町はふるさと納税を取り扱う業者数を9業者から14業者に増やしたことが奏功し、件数、額とも同町の過去最高を記録した。担当者は「業者数を増やしたことで、与論町を知っていただく契機になった。今年度は大都市圏でのプロモーション活動でさらにPRしたい」と意気込む。

 

和泊町は23年10月以降、1千円台から寄付可能な少額の返礼品を取りやめたことが影響し、寄付件数が1万件以上減少。担当者は「寄付額は思った以上に減少していないことが救い。今後は県外で開催される物産展に出向いたり、島内の観光施設にポスターを掲示したりするなどして、PRに努めたい」としている。