「ミステリーサークル」に卵 アマミホシゾラフグの繁殖確認 瀬戸内町の大島海峡で 奄美海洋生物研究会
2023年06月03日
「海底のミステリーサークル」と称されるアマミホシゾラフグの産卵床がこのほど、奄美大島南部の大島海峡で見つかり、奄美海洋生物研究会の興克樹会長(52)が5月31日に産卵を確認した。興会長は「繁殖が確認されているのは奄美大島の一部だけ。島の宝として関心を持ち、大切に見守ってほしい」と話した。
アマミホシゾラフグは、奄美大島周辺の海域に生息する体長約10センチの小型のフグ。オスは水深12~30メートルの砂底で直径約2メートルの産卵床を作ることで知られる。シッポウフグ属の新種として、2014年に背中の斑点模様から奄美の夜空にちなんで命名された。15年には生物学の研究者が選ぶ「世界の新種トップ10」に選ばれている。
産卵シーズンは4月から7月にかけて。興会長によると、5月28日に瀬戸内町清水の水深25メートルの砂地で観察を開始し、30日に産卵床の完成を確認。31日午前6時50分ごろに産卵の様子を撮影した。メスの産卵後はオスが外敵から卵を守り、約5日後にふ化するという。
アマミホシゾラフグは沖縄県でも生息が確認されているが、産卵床は奄美大島の大島海峡と笠利湾でしか見つかっていない。興会長は「地元のダイビング事業者の方々が毎年観察し、自主ルールに基づいたツアーを実施している。世界中からダイバーが訪れるような面白い生き物のことを知ってほしい」と話した。