アメリカザリガニが繁殖 遺産エリア近くで2千匹捕獲 「捨てないで」と呼び掛け 徳之島

2023年05月27日

徳之島で捕獲された大量のアメリカザリガニ(徳之島虹の会提供)

【徳之島総局】6月1日から「条件付特定外来生物」に指定されるアメリカザリガニが徳之島で繁殖していることが確認され、島の生態系への影響が懸念されている。世界自然遺産エリア近くの池1カ所で約2千匹が捕獲されており、関係者は「もともと島にすんでいる希少生物が絶滅する恐れがある。島の外から持ち込んだ動植物を絶対に捨てないで」と呼び掛けている。

 

アメリカザリガニはアメリカ南東部からメキシコ北東部が原産。体長は約10センチで、ウシガエルやブラックバスの餌として国内に持ち込まれた。劣悪な水質でも生きられ、一度に200~1000個の卵を産む。繁殖力が強く、水生昆虫や魚類を捕食するため生態系への影響が懸念されている。

 

今回、繁殖が確認されたのは世界自然遺産登録地近くの集落内。島内で環境保護に取り組む「徳之島虹の会」のメンバーが昨年11月30日に夜間パトロールを行った際に、道路を横断するアメリカザリガニを確認。その後の約5カ月間で約2千匹を捕獲したという。

 

環境省徳之島管理官事務所の田口知宏国立公園管理官は「関係機関と連携して他の地域の調査を急ぐ」と話し、緊急な対策の必要性を強調。

 

その上で「外来種が一度繁殖すると駆除には膨大な時間と人手がかかる。早期発見のためにも住民が自然への関心を持つことが重要」と理解と協力を求めた。

 

条件付特定外来生物への指定は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」の一部改正によるものでアメリカザリガニとアカミミガメが対象。既に飼育しているものは引き続き飼育できるが、6月1日以降は許可のない野外への放出、輸入、販売、購入などが禁止される。

 

徳之島虹の会の美延睦美事務局長は「徳之島の希少な生物にとってアメリカザリガニが脅威であることをもっと多くの島民に知ってもらいたい」と話し、「もしザリガニを見つけた場合は連絡してほしい」と呼び掛けた。

 

見つけた場合などの情報提供は、電話0997(86)3575徳之島虹の会へ。