一村作品生かす地域へ 「山陰の小京都」参考に討論 奄美市

2023年05月28日

社会・経済 

地域の歴史や文化を活かしたまちづくりについての講演や意見交換が行われた「美術館を活かしたまちづくり」フォーラム=27日、奄美市名瀬の市民交流センター

奄美群島日本復帰70周年記念フォーラム「美術館を活かしたまちづくり」が27日、奄美市名瀬の市民交流センターであった。県奄美パーク・田中一村記念美術館開設時の作品収集や展示編集に携わった島根県の津和野町立安野光雅美術館長・大矢鞆音氏が「美術館づくりを手伝って」、同町長の下森博之氏が「歴史と文化は宝もの」と題して講演。歴史ある美しい街並みが「山陰の小京都」と呼ばれ、年間約120万人が観光に訪れる津和野町の取り組みを参考に、奄美群島の歴史や文化を活用した地域づくり実現に向け、意見が交わされた。

 

フォーラムは奄美市教育委員会と民間有志「フォーラム奄美23」実行委員会が共催。終生まで奄美を描いた画家・田中一村の作品を活用した地域振興を考える目的で開催された。

 

大矢氏は「街並みに調和し、税金もなるべく使わない美術館」を目指した安野光雅氏の思いに触れ、「芸術と科学を結ぶ美術館であり、文学館を目指した」としてプラネタリウムや図書室を備えた同館の特徴を解説。安野氏の作品の魅力や画家として根底にある考え方などを紹介した。

 

下森氏は津和野町の文化財保存方法や工事費用、官民連携による文化財の観光活用などを説明。「バリアフリーなど現代社会の構造に沿った文化財の保全も必要。人口減少が進み、文化を継承する人を地域で育むことが重要だ」として同町の教育ビジョンを示した。

 

フォーラム後半の討議では田中一村作品の魅力や「奄美市内の情報発信施設や美術館をどう活かすか」など意見が交わされた。

 

実行委員会の美佐恒七代表は「世界自然遺産に登録され新しい兆しが見える今、どんな奄美を作っていくか。若い世代と共に考えてほしい」と締めくくった。

 

名瀬の佐藤栄子さん(75)は「津和野町の具体的な取り組みが勉強になった。田中一村や島尾敏雄など、奄美の文化や芸術を築いた人々の功績を活かせるまちづくりを考えたい」と話した。