サンゴ「健全度高い」 大島海峡でリーフチェック 嘉鉄沖、被度60% 瀬戸内町海を守る会など

2023年12月07日

大島海峡で行われたリーフチェック=28日、瀬戸内町(日本自然保護協会提供)

地元ダイビング事業者ら16団体で組織する瀬戸内町海を守る会(武夏樹会長)と日本自然保護協会は11月下旬、サンゴ礁の健康度を調査するリーフチェックを奄美大島南部の大島海峡内5カ所で行った。大規模な白化被害などはなく、いずれの場所も「健全度が高い」と評価した。

 

調査地点は瀬戸内町古仁屋側の嘉鉄沖、蘇刈の三角岩パート2付近、須手灯台下と、同町加計呂麻島側の渡連沖、デリキョンマ崎沖の5カ所。27、28の2日間で同会会員と専門家ら延べ20人が参加し、サンゴ被度と魚類、無脊椎動物の数などを調べた。

 

調査対象種ではガンガゼ、チョウチョウウオ、シャコガイ、オトヒメエビ、ブダイ、スズメダイなど数多くが記録された。このほか、ノコギリダイとアカヒメジの群れや、ヨコシマクロダイ、ウミヘビ、ウミガメなども記録した。シャコガイの個体数が約400平方メートルの調査範囲内で300個体を超えるポイントもあった。

 

海底がサンゴで覆われている割合を示す「サンゴ被度」は調査地点により異なるが、19・4%(渡連)から60%(嘉鉄)。日本自然保護協会の安部真理子保護・教育部主任は「沖縄のようなサンゴ礁地形とは異なり砂地や岩場が含まれるため、サンゴ被度が低くなる」と述べた上で「サンゴが十分残っており、高い健全度を保っている」と評価した。

 

奄美大島南部の海域では2001年から05年にかけてサンゴを食害するオニヒトデが大量発生し、壊滅的なダメージを受けた。守る会は01年から毎年、加計呂麻島の安脚場沖などでリーフチェックを続けているほか、20年から日本自然保護協会とも協力して町内の調査を行っている。

 

守る会の武会長は「専門家の協力もあり、大島海峡の海の健全度を記録した長期的なデータが蓄積されつつある。活動の成果を示すとともに、地元の子どもたちへ保全の大切さを伝える資料としたい」と話した。