トゲネズミにシイの実を 親子で採集、飼育施設へ 奄美市笠利町で体験会

2023年11月04日

シイの実拾いを通してトゲネズミへの理解を深めた親子体験会=3日、奄美市笠利町

奄美市立奄美博物館と世界自然遺産推進共同体が共催する親子自然体験会「動物園で飼育されているアマミトゲネズミにシイの実を!」が3日、奄美市笠利町の蒲生崎観光公園であった。島内の親子連れなど72人が参加。島外の動物園などで飼育されているアマミトゲネズミのために餌の一つであるシイの実を拾い、奄美の生物多様性や保全の取り組みについて理解を深めた。

 

アマミトゲネズミは奄美大島の固有種で、環境省レッドリストの絶滅危惧IB類。国の天然記念物にも指定されている。保全の一環として、島外の動物園や大学などで飼育して個体数を増やす「生息域外保全」が2017年から行われており、現在全国の8施設で計82頭を飼育、生態や遺伝子の研究・調査が進められている。

 

体験会では県外のアマミトゲネズミ飼育施設の職員ら3人が講師として参加。神戸どうぶつ王国動物管理課の田中秀太係長は、動物園の役割として①楽しみを提供する②環境教育を行う③調査・研究をする④種の保存に貢献する│を紹介し、生息域外保全の取り組みについて説明した。

 

会の後半は同公園内でシイの実採集に取り組んだ。参加者は地面に目を凝らしながら夢中になって拾い、虫食いや割れた実を取り除いてきれいな実を選別。1時間ほどで約4キロを集めた。煎ったシイの実の「試食会」もあり人気だった。

 

母親と参加した笠利中3年の永田和那さん(15)は「島の外で飼育していると知って驚いた。集めたシイの実をいっぱい食べてほしい。野生のトゲネズミも見てみたい」と笑顔で話した。

 

集めた実は冷凍後、アマミトゲネズミを飼育する各施設へ配布される。