「地元枠」伸び悩む 繁忙期に新ルール案 三太郎線で実験結果 奄美市住用町

2022年10月09日

世界自然遺産

地元枠を利用した住民に聞き取り調査を行う関係者=9月254日、奄美市住用町

環境省は8日までに、奄美市住用町の市道三太郎線周辺で実施している夜間の車両規制に、繁忙期向けの新たなルール案を試行する実証実験の結果(速報)をまとめた。実験期間は9月17~25日の9日間で、通行した車両は109台。地元側の要望を受けて設定した1日1組の「地元枠」の利用は、25日の1台にとどまった。台風の影響で利用が伸び悩んだこともあり、同省は「詳細なデータを分析して、再実験を行うかどうかを含め、(新ルールの)導入について検討していく」としている。

 

三太郎線周辺はアマミノクロウサギなど希少な生き物が多く、夜間に野生生物を観察するナイトツアーの人気スポット。車両規制は奄美・沖縄の世界自然遺産登録に伴う観光客の増加を見据えて、希少動物のロードキル(交通事故死)や、車の追い越しをめぐるトラブルなどの防止が目的。2021年10月に予約制や車両台数制限などを試行的に導入した。

 

新ルール案は、観光ガイドや地域住民からの要望を受けて、利用が集中する大型連休やお盆、年末年始などの繁忙期に、三太郎線で東西の入り口からそれぞれ30分に1台としている現行の車両台数を、1グループ2台まで同時に通行可能とし、1日1組分を住用町住民専用の地元枠に設定するもの。

 

実験はシルバーウイーク(SW)に合わせて実施。環境省によると、2台同時の利用は11件だった。期間中の車両台数は24日が24台で最も多く、23日16台、25日14台と続き、後半の3連休に利用が多かった。台風が接近した17日は1台のみで、18日8台、19日10台と前半の3連休は伸び悩んだ。

 

25日に地元枠を利用した同町西仲間の井上雅仁さん(72)は、妻や友人とクロウサギなどの観察を楽しんだ。地元枠は「夏休みや正月にあるといい」と歓迎するが、ウェブサイトなどからの予約が必要なシステムに、「高齢者には難しい。電話で予約できるようになるといいのに」と話した。

 

実験結果を踏まえて、官民の関係者でつくる三太郎線周辺の夜間利用適正化連絡会議で新ルールの導入について協議する。