ラッピングバスで啓発 野生生物の交通事故防止 環境省

2022年09月28日

世界自然遺産

完成したラッピングバスを眺める環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部所長(左)と奄美海洋生物研究会の興会長(中央)ら=27日、奄美市名瀬

国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど野生動物の交通事故防止を啓発するラッピング(装飾)を施した路線バス1台が27日、奄美大島で運行を始めた。環境省が主催するアマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーンの一環。写真撮影やデザインを担当した奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「路上で撮影した生き物を中心に選んだ。事故を減らす効果があればうれしい」と話した。

 

事故防止キャンペーンは、毎年繁殖期を迎えて活動が活発になる秋に同省が奄美大島と徳之島で実施。公共、観光施設へのポスター掲示や街頭キャンペーンなどを展開している。

 

ラッピングバスはしまバス(本社・奄美市名瀬)が運行。ラッピングは車体後部に2㍍四方、アマミノクロウサギやケナガネズミ、アマミイシカワガエルなどの野生生物6種類がプリントされ、奄美大島の方言で「ゆっくりゆっくり」を意味する「よーりよーり」と生き物が呼び掛けているようなデザインになっている。

 

近年のアマミノクロウサギの交通死亡事故件数は奄美大島で2020年54件、21年61件、22年は8月末時点で54件。徳之島では20年16件、21年17件、22年8月末19件と増加傾向にある。

 

環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部慎太郎所長は「奄美大島にいる多様な生き物を知ってもらうとともに、島民や観光客一人ひとりが夜間の運転に気を付けてほしい」と呼び掛けた。

ラッピングバスは来年3月末まで島内各地を走る予定。