保全と活用の在り方探る 伊仙町で世界自然遺産登録記念講演会

2022年03月29日

世界自然遺産

徳之島の自然環境の保全や活用策などについて、地元住民への浸透を図った記念講演会=27日、伊仙町のほーらい館

徳之島3町世界自然遺産登録記念講演会(伊仙町主催)が27日、同町の徳之島交流ひろばほーらい館であった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)元事務局長の松浦晃一郎氏、観光庁観光資源課の星明彦課長が徳之島の自然の保全と活用の在り方について講演。遺産地域として評価を受けた生物多様性の価値発信の重要性などを強調した。

 

昨年の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録を受け、自然遺産の価値や先進地の事例、今後の取り組みの方向性などについて、島内3町の住民に理解を深めてもらおうと企画。島内から約130人が来場した。

 

松浦氏は山口県出身。外務省を経て1999年から2009年までユネスコの事務局長を務めた。「世界自然遺産登録された地域のその後」と題して講演。先進地として、縄文杉をランドマークに位置付けた屋久島の取り組みを紹介し「自然遺産の利活用には目玉となるスポットがあると有利」と述べた。

 

その上で、徳之島での取り組みについては「最大の魅力である生物多様性の価値を遺産地域のシンボルと位置付け、生物多様性とは何かを分かりやすく伝える工夫が必要」と助言した。

 

観光活用の観点から「地域資源の質と持続可能性を高める観光」と題して講演した星課長は「地域の産物の付加価値を高めて観光資源として活用することが大切。地域の資源やお金が循環して地域をうるおす仕組みを作る必要がある」と伝えた。

 

会場を訪れた津川メイ子さん(71)=同町阿三=は「世界自然遺産登録を機にもっと島のことを知りたいという興味が出てきたので受講した。地元の産物を利用する大切さが分かった。私も地元の材料を活用したお菓子づくりなど考えてみたい」と感想を述べた。

 

講演会には塩田康一知事も祝いのメッセージを寄せたほか、観光庁の和田浩一長官もリモートで参加した。