保全活動部門で大臣表彰 奄美マングースバスターズ 外来種対策の活動評価

2025年05月02日

世界自然遺産

奄美大島の山中で探索犬とともにマングースの痕跡を探す奄美マングースバスターズ(提供写真)

環境省の2025年度「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰の受賞者がこのほど発表され、奄美大島で特定外来生物フイリマングースの駆除の中心的役割を担った「奄美マングースバスターズ(AMB)」が選ばれた。関係者は「奄美の活動は外来種対策の法整備前から始まり、国内の対策の礎となった。AMBに限らず、生態系を守るために取り組んできたすべての人の功績が評価されたと感じる」と喜びを語った。

 

表彰は自然環境の保全などに顕著な功績があった個人や団体を対象に、環境省が毎年「みどりの日」に合わせて行っているもの。▽保全活動▽いきもの環境づくり・みどり▽自然ふれあい▽調査・学術研究▽国際貢献―の5部門があり、今年度は国際貢献以外の4部門で全国で16個人16団体が選ばれた。奄美マングースバスターズは保全活動部門での受賞。

 

環境省などによると、奄美大島のマングースは沖縄から持ち込まれたものが1979年ごろに奄美市名瀬で放され定着、在来生物を捕食して島の生態系に深刻な被害を及ぼした。地元自治体による捕獲が1993年に始まり、環境庁(当時)も事業調査などを経て2000年から本格的な駆除に踏み切った。

 

05年6月施行の外来生物法でマングースが特定外来生物に指定されたことを受け、AMBが発足。事業を受託する一般財団法人自然環境研究センターのプロジェクト専門職員として全国各地から集ったバスターズメンバーがわなや探索犬、毒餌も用いて段階的に駆除を進め、24年9月に根絶が宣言された。

 

AMBは地域住民への啓発活動や、山中の野生生物のモニタリング調査などでも重要な役割を担ってきた。近年は自動撮影カメラでも希少種の生息回復状況などが確認されているという。今後も調査を継続しながら、再侵入への警戒と新たな外来種への対策も含めた監視体制の構築を目指す。

 

AMBとして18年間活動を続けている後藤義仁さん(50)は「活動を通して生態系保全への理解が広がった。特に環境教育や自然体験を通して地元の子どもたちが自然に親しみ、理解するきっかけになったことがうれしい」と話した。

 

表彰式は14日に都内で行われる予定で、奄美マングースバスターズを代表して自然環境研究センター奄美大島事務所の松田維所長ら3人が出席する見込み。