定着外来植物の影響懸念 奄美市、公民連携会議で議論

2022年11月21日

世界自然遺産

外来植物問題について意見を交わした公民連携会議=20日、奄美市名瀬

奄美市の公民連携会議「世界自然遺産活用プラットフォーム」(座長・須山聡駒沢大学教授)の第5回会合が20日、同市役所であった。鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター特任教授(植物生態学専門)の鈴木英治氏が、奄美大島の外来植物について講話。すでに侵入・定着した外来種の根絶は困難との見方を示す一方、「遺産地域に大きな影響を及ぼしかねない外来種は対策が必要」と指摘した。外来種だが、奄美市が一部の個体を保存樹に指定しているアカギについても、保存か駆除か、対応を協議していくよう促した。

 

公民連携会議は、奄美・沖縄の世界自然遺産登録効果を地域振興に生かすため、市民参加型の政策実現を目指し奄美市が5月に設立した。メンバーは安田壮平市長から委嘱を受けた各分野の14人。

 

講演は、会議のメンバーが奄美大島の外来種問題について認識を深め、今後の協議に生かす目的で開催した。

 

鈴木氏は「外来種を入れないことが1番の対策」とし、公共工事などによる持ち込みを減らすことや、植物を識別できる人材を育成し、新規外来植物の侵入を監視することで早期発見・早期駆除につなげることなどを提案した。

 

学校敷地などに植樹されているアカギについては、特に小笠原諸島で被害が大きく、日本生態学会が「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定していることなどを紹介。「奄美大島の遺産地域への侵入はまだ少なく、在来種数が多い奄美では小笠原ほど増加しないかもしれないが、懸念される種」と指摘した。

 

その上で「遺産地域内のアカギは伐採が望ましい。ただ遺産地域外の例えば学校にあるものなどは記念樹としての意味もあり悩ましい問題。保存か、駆除か議論が必要」などと述べた。

 

講演後の意見交換では出席者から「(アカギについて)外来種だから駄目という一元的な考え方ではなく、自然への影響がどれくらいあるか考慮し、対応していく必要があると感じた」といった意見が聞かれた。

 

このほか会議では、継続審議となっていた「『外猫ゼロ』を目標に適正飼養の普及啓発と相談体制強化や、引き取り・譲渡の活動拠点施設整備」に関する事業の提案を承認した。

次回会議は来年1月を予定し、その後、市長への成果報告も行う。