屋久島で世界自然遺産講演会 平城達哉学芸員が奄美紹介 約40人が参加

2023年11月25日

世界自然遺産

奄美・徳之島の生き物について紹介された世界自然遺産講演会=23日、屋久島町安房の屋久杉自然館

世界自然遺産登録30周年を迎える屋久島で23日夜、地域住民対象の講演会「列島縦断!日本の世界自然遺産ものがたり」があった。約40人が参加し、奄美市立奄美博物館の平城達哉学芸員を講師に、奄美・徳之島の希少な動植物や環境保全の取り組みについて学んだ。

 

講演会は屋久島町安房の博物館「屋久杉自然館」(松本薫館長)が世界自然遺産登録30周年を記念し、全国の自然遺産登録地から講師を招いて実施しているイベントの第3弾。同館では各登録地のクローズアップ展も実施しており、11月1日~30日は奄美・徳之島をテーマに、剥製やパネルを用いて生き物の紹介などを行っている。

 

平城学芸員は奄美群島の地史的な成り立ちと生物多様性の関係について「奄美大島、徳之島、沖縄島北部を含む中琉球が大陸から分離し、各島で動植物が独自に進化したことから、世界中でこの地域にしかいない固有種が多い」と説明。

 

固有種は環境の変化によってその土地にだけ残った「遺在固有種」と、長い時間をかけて土地ごとに遺伝的に進化した「新固有種」に分けられると述べ、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、アマミイシカワガエルなどさまざまな固有種の特徴やユニークな生態について写真を交えながら解説した。

 

特定外来生物マングースの防除事業や、森で野生化した猫(ノネコ)の捕獲と飼い猫の適正飼育の普及活動、希少生物が数多く生息する地域の車両規制ルールや盗掘防止パトロールなど、奄美で進む環境保全の取り組みの紹介もあった。

 

参加者の一人で屋久島町公認ガイドの市川聡さん(62)は「ケナガネズミのリスのような生態が面白く、ずっと気になっていた。いつか奄美へ探しに行きたい」と話していた。