希少種保護へ連携強化 輪禍、野生生物持ち出し対策協議 奄美大島地区会合

2022年07月23日

世界自然遺産

野生生物の島外持ち出しやロードキル対策について協議した会合=22日、奄美市名瀬

奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長・宮澤泰子県自然保護課長)の奄美大島地区の会合が22日、奄美市名瀬であった。国、県、地元市町村など関係者約30人が参加。空港からの大量の野生生物の持ち出し事案や、アマミノクロウサギのロードキル(交通事故死)の急増を受けて、関係機関が連携して対策を強化していくことを申し合わせた。

 

環境省の報告によると、奄美空港(奄美市笠利町)では2021年度、シリケンイモリやクワガタなどを大量に持ち出そうとする事案が2件確認された。法令で捕獲や採集が禁止されている希少種ではなかったものの、継続すれば生態系に影響を及ぼす恐れがあるとして、昆虫の採集マナーの周知など来島者への普及啓発に協力を呼び掛けた。

 

密猟防止に向けて、同省は奄美空港で今月から10月下旬にかけて、来島者に希少種の保護を呼び掛けるキャンペーンを展開する。調査員を配置して、乗客が持ち込んだ動植物の種名や捕獲場所などを確認する調査も行う。

 

奄美大島ではクロウサギのロードキルが20年に50件、21年に59件と2年連続で過去最多を更新した。県は22年度、事故が多発する宇検村と奄美市住用町を結ぶ県道85号(湯湾新村線)と、瀬戸内町の町道網野子峠線の2カ所で、クロウサギなどが道路に出て来ないように侵入防止柵を整備する。

 

ロードキルの発生状況を地域住民に周知するため、同省は公共施設などに事故件数を表示する看板を設置する。

 

宮澤会長は「密猟やロードキル対策など希少種の保護に必要な取り組みはたくさんある。関係機関としっかり連携して強化していく」と述べた。

 

会合後は奄美空港でチラシを配布して昆虫採集のマナー向上やロードキル防止などを呼び掛けたほか、撮影した生き物の画像を自動で判定する密猟対策アプリに関する研修があった。