長い1匹?いや2匹! ウミヘビがウミヘビ捕食 郡体カヌー会場に出没 奄美市名瀬の大熊漁港

2022年07月23日

マダラウミヘビ(左、黄と黒のしま模様)がシマウミヘビ(青白と黒のしま模様)を捕食しているとみられる状況=17日、奄美市名瀬の大熊漁港

ウミヘビも観戦に来たのかな―。奄美市名瀬の大熊漁港で第75回県民体育大会第63回大島地区大会(郡体)カヌー競技が開催された17日、会場脇の堤防近くにウミヘビが姿を現した。見た人たちは2メートル級の大物かと驚いたが、よく見ると2匹が連結している。どうやらマダラウミヘビがシマウミヘビを捕食している状況らしい。ウミヘビは観客ではなく、戦いのさなかだったようだ。

 

カヌー競技がすでに始まっていた同日午前9時すぎ、スタート地点近くにウミヘビが出没。観客らが集う堤防そばの水面付近で、しばらく長い体を激しくくねらせ、海中に姿を消した。気付いた人々は「2メートルはあるかい」「カヌー見に来とるや」とざわついた。

 

しかし、その様子を収めた写真をよく見ると、個体のしま模様は「黄と黒」「青白と黒」と場所によって違う。奄美海洋生物研究会の興克樹会長に聞いたところ、写っているのはマダラウミヘビとシマウミヘビの2匹で、前者による捕食シーンとみられるという。

 

マダラウミヘビは主に南西諸島沿岸に生息するは虫類。強い神経毒を持ち、体長2メートル近くまで成長する。一方のシマウミヘビは、実はウナギ目に属する魚類。沖縄周辺などに生息し、体長1㍍ほど(成魚)でウミヘビのようなしま模様だが、毒はない。

 

マダラウミヘビによるシマウミヘビの捕食について、興会長は「その場面に遭遇するのは珍しいと思う。シマウミヘビは有毒のウミヘビ類に擬態して身を守っているとも言われており、それが捕食されている状況は興味深い」と話した。