自然体験で交流広げる 高校生11人が奄美大島満喫 県奄美・屋久島交流学習

2023年10月22日

世界自然遺産

 世界自然遺産に登録された鹿児島県内の奄美大島、徳之島、屋久島の高校生を対象とした県事業「2つの世界自然遺産~奄美・屋久島自然体験型交流学習」が20日、奄美大島で始まった。各島の高校生11人が自然研修や観察ツアーなどに参加。21日は大和村の環境省奄美野生生物保護センターなどを訪れ、身近な自然の魅力に触れながら互いに親交を深めた。22日まで滞在する。

 

高校生対象の交流事業は県の2023年度新規事業で、若い世代に自然への関心を高めてもらい、世界遺産の価値を将来にわたって継承していくことが目的。7月に6泊7日の日程で3島を訪問予定だったが、台風6号の影響で10月に延期、縮小して実施した。

 

参加したのは大島、大島北、古仁屋、徳之島、樟南第二、屋久島の希望者のうち、各高校から選ばれた1~3年生。21日は奄美大島を代表する自然観察スポットで遺産地域の金作原国有林(奄美市名瀬)を散策後、大和村の奄美野生生物保護センターを訪問した。

 

同センターでは環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長が展示物を用いながら、奄美群島の成り立ちや島ごとの自然環境と生態系の違い、環境保全の取り組みなどについて解説。阿部所長は特定外来生物マングースや野生化した猫(ノネコ)の捕獲・防除事業などにも触れ、「家畜や園芸植物は野生生物とは違い、人間に管理責任がある。住んでいる土地の本来の姿と価値を学び、人間は自然に生かされていることを理解して生態系の在り方を考えてほしい」と呼び掛けた。

 

国の特別天然記念物アマミノクロウサギや天然記念物アマミトゲネズミなど、奄美大島の森の生き物の紹介もあった。参加した生徒たちはこの日の夜のナイトツアーに向け、時折メモを取りながら熱心に耳を傾けていた。

 

樟南第二高校商業科1年生の貴島結奈さん(16)は「徳之島と奄美大島は似ているけど、歩いてみたら森の様子が少し違うと感じた。ナイトツアーでどんな生き物に出会えるのか楽しみ」と笑顔。

 

屋久島高校環境コース2年生の芝原青空さん(16)は「同じ植物でも屋久島のホウロクイチゴはシカに食べられないよう葉にトゲがあるが、シカのいない奄美ではトゲが少なくて面白かった。アマミノクロウサギもぜひ実物を見てみたい」と話していた。

 

高校生たちは22日に学習の振り返りを行い、本場奄美大島紬の製造などについて学習した後、それぞれの島へ戻る予定。