側溝にアオウミガメ 重機で救出、海に帰る 奄美市名瀬

2023年07月14日

側溝に落ちた後、救出されショベルカーでつり上げられるアオウミガメ=13日、奄美市名瀬(奄美市提供)

奄美市名瀬浄化センター(同名瀬長浜町)敷地に隣接する道路で13日早朝、ウミガメが側溝に落ちて動けなくなっているのを、散歩中の住民が見つけた。住民は奄美市役所に連絡し、市職員や奄美海洋生物研究会のメンバー、現場付近にいた工事関係者ら10人余りがロープや重機を使用してウミガメの救出作戦を展開。作業開始から約1時間後、無事に海へ帰っていった。

 

救出作業に当たった同市の職員によると、救出されたウミガメは環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に分類されているアオウミガメの雌で、甲長95センチ、体重は推定100キロ以上。現場から400メートルほど離れた海岸に産卵のために上陸後、施設の近くに迷い込み、側溝に落ちたとみられる。

 

ウミガメを見つけた男性は市役所の開庁時間を待って午前8時半ごろ通報。駆け付けた職員らはロープでウミガメを固定し、5人がかりで側溝から引き揚げて救出した。

 

ウミガメはショベルカーで吊り上げ、トラックで近くの漁港のスロープまで運んで放流。浅い傷は見られたものの、自力で海に戻っていったという。

 

救出作業を行った市職員は、発見当時、ウミガメは元気そうな様子だったものの、強い直射日光でやや衰弱が始まっていたと説明。「迅速に救出作業が進み、命を助けられてよかった」と安堵(あんど)した様子で話した。

 

同じく救出に当たった奄美海洋生物研究会の興克樹会長(52)は、奄美大島では海辺や浜から離れた路上や施設の敷地内などにウミガメが迷い込むことが年に1回ほどあると話し、「自力で海に戻れないウミガメを見つけた際は、役場に連絡してほしい」と呼び掛けた。